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- 米10月FOMCは0.5%の利下げを決定、FF目標金利は1.0%に
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■見出し
・FF目標金利は、4年ぶりの歴史的低水準へ:利下げの概要と経緯
・FOMC声明文のポイント:声明文の内容
・利下げは、短期信用市場の不安定持続と実体経済冷え込みへの対応:大幅利下げの背景
■introduction
10/28・29日開催のFOMC(米連銀:連邦公開市場委員会)は、FF目標金利を0.5%引下げ1.0%とすることを決定した。9月金融危機を受けて10月8日には主要国の協調利下げに伴い、FF目標金利は2.0%から1.5%へと0.5%の緊急利下げが実施されたばかりであるが、今回も0.5%の大幅な引下げとなった。FOMCの利下げ決定については、昨年9月に開始された一連の利下げが本年6月以降停止されていたが、10月には2回、合計1%の利下げ実施となった(末尾図表5参照)。また、今回の利下げでFF目標金利水準は1%に低下したが、この水準は2003年6月以降1年間に渡って据え置かれた水準であり、約4年ぶりの低水準に復帰した形となる。
今回の金融危機を誘引した“住宅バブル”については、グリーンスパン議長時代の上記の低金利水準からの引き上げが遅れたことが一因とも言われており、今回の利下げにより同レベルに回帰したことはバブル破裂の影響の大きさを窺わせる。しかし、金融・信用市場の混乱はなお収まりを見せていない中、直近では、消費者マインドが急激な低下を示すなど、金融危機を受けた景気の冷え込みは、今後一層強まると思われる(図表1、2参照)。
そのため、FF目標金利が歴史的な低水準となったにも関わらず、利下げが打ち止めとの見方は少ない。後記の声明文に見られるように、将来的な利下げの可能性を留保する「成長維持に必要な行動をとる」との文言は、依然、残されたままである。
FRBでは、昨年8月のサブプライム住宅ローン問題の影響を受けたパリバ・ショック後は、金融・信用市場の混乱に対処すべく利下げを開始していたが、原油価格の高騰を背景としたインフレ懸念の強まりで、今年の6月FOMC以降は利下げ停止を決定した。しかし、7月に原油価格がピークアウトし、その後も景気減速を受けた下落が続いているため、物価指標への反映は遅れているものの、インフレ見通しは改善しており、景気の下ぶれへの対応を前面に出す形となったものと言えよう(図表3、4参照)。
(2008年10月30日「経済・金融フラッシュ」)
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土肥原 晋
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