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7月初旬に、5年ぶりにマイナスとなった年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2007年度の運用実績が公表され、「赤字5兆円」の見出しがテレビや新聞を賑わせた。
GPIF は厚生労働大臣が定める中期目標に従って運営されている。現在の中期目標は、「名目賃金上昇率+1.1%」の財政再計算上の予定利回りである。過去5年の運用利回りは平均4.03%と、目標の0.96%を大きく上回っており、2007年度の結果だけで、「公的年金でまた新たな問題」と報じるのはやや短絡的であろう。
とはいえ、運用目標を財政再計算の予定利回りとしていることには疑問もある。現行制度では、マクロ経済スライドによって運用成果と給付水準が連動する。リスクをとれば平均的にはリターンが高まり給付水準が上がる一方、損失が生じてモデル所得代替率50%という最低給付水準を確保できなくなる可能性も高まる。骨太の方針2008が指摘する「公的年金運用について国民の立場に立って幅広く検討」するのなら、給付水準の見通しを評価軸の1つに加えて、運用目標を議論するのも一案ではないか。
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