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年金基金には、単に将来の給付原資の確保に止まらず、株式や債券への投資と長期保有により、企業、ひいては、日本経済の成長・発展に寄与する、重要な社会的役割があると指摘されてきた。
ところが最近、基金の投資が増加しているヘッジ・ファンドの多くは、ショート・ポジション(空売り)をとる。割高な株価が下がることで儲ける手法だ。しかし、投資先の株が下がることを単純に喜び、経済発展の一翼を担うという社会的責任を放棄するのはいかがなものかという議論もある。
他方、株主のため、また受託者として従業員のために、あらゆる運用手法を利用して、リターンを高めるべきであり、そのために、ショート・ポジションをとるのを辞さないと考える基金もあろう。
ここで言えるのは、証券市場の公正な価格形成に寄与することも、機関投資家としての基金の社会的役割の一つということだ。買いポジションだけ(ロングオンリー)では、この役割を果たし辛い。安いものは買い、高いものを売って適正な資本コストを資金調達者である企業や政府に示すことも、結局はそれらの発展を助けるのだから、一つの社会的貢献と考えられないだろうか。
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