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米国のエリサ法によると、年金基金の管理運営にあたる受託者は加入者の利益に忠実に(忠実義務)、また慎重な専門家としての注意をもって(注意義務)、業務を執行しなくてはならない。日本の基金型の理事や規約型の事業主も、確定給付企業年金法により忠実義務を負い、また、民法上の受任者として注意義務を負う。
受託者責任は日米とも、まず資産運用を念頭に置いている。リスクを抑えつつ、できるだけ効率的にリターンを追い求めるべきということである。では、それだけでよいのか。
加入者の利益とは、約束された給付の支払を受けることだろう。したがって、支払の可能性に応じて、資産運用の方法を変えていくことは当然のように思われる。積立比率が十分ある場合や十分でなくても母体の掛金支払の意思や能力があれば、リスクをとる必要はない。他方、企業が掛金を抑え、それでも加入者が約束した給付を求めるようなら、リスクをとらざるを得ないだろう。
このように考えると、母体の掛金支払能力を念頭に置きつつ、給付債務や積立比率を考慮することは、受託者責任が求める、加入者の利益に忠実で、かつ慎重な資産運用の前提と言える。年金債務から目をそらす受託者に、100点満点はつかないのではないか。
(2006年08月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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