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■見出し
1. 住宅投資の拡大と利回りの低下
2. 賃貸住宅市場の動向
3. 賃貸住宅需要層の人口推移
4. 投資物件の競争力精査の重要性
■introduction
バブル経済の崩壊後の不動産投資は、地価下落と不良債権処理の中で長く停滞していたが、不動産証券化市場の整備1と不動産市況の底入れに伴い拡大し始め、現在では不動産投資市場がヒートアップしていると言われるほどになっている。
国土交通省の証券化実態調査によると、2004年度に証券化された不動産の資産額は、2003年度の1.9倍にあたる7.5兆円であり、これまでの単純累計で20兆円に達している。証券化された不動産の種類も、オフィス、住宅、商業施設、ホテル、倉庫など多岐にわたっているが、その中で住宅は、オフィス、商業施設とともに主要な対象となっている。
J-REIT(不動産投資信託)においても、住宅(主にマンション)への投資は拡大を続けている。特に物件数(棟数)の伸びは著しく、2003年末の19件から、2005年末には397件に達している(図表-1)。その結果、J-REIT全体に占める比率は、物件数で50.3%、テナント数で76.0%、賃貸可能面積で14.2%、資産評価額で16.6%となっている。
このようなJ-REITや私募ファンドを通じた賃貸住宅への投資資金の流入は、首都圏における住宅着工の下支えともなっている。1998年以降、首都圏(1都3県)の住宅着工は36万4千戸から43万2千戸へと6万7千戸増加(18.6%の増加)しているが、内訳は、持家が1万5千戸の減少(15.7%の減少)に対して、賃貸住宅は3万6千戸の増加(29.4%の増加)、分譲住宅は4万9千戸の増加(33.5%の増加)であった。
2005年には、マンションの「2005年問題」といわれる大量供給に伴う大量在庫の発生が予想され、デベロッパーの淘汰をもたらす可能性が懸念されていた。しかし、分譲用マンションの賃貸用への転用など、ファンドによる投資の拡大が、この問題を回避できた要因の一つと考えられている。
一方で、ファンドによる住宅投資の増加は、東京都心部における価格の上昇をもたらし、物件取得を困難にしている。「東京都心5区における住宅取得は困難」と回答する私募ファンドが、すでに2004年の調査2で4割にものぼっており、東京城南地区(目黒区・世田谷区)のワンルームマンションの期待利回りは、2001年4月の8.1%から10.4%の範囲から、2005年10月には5.5%に急低下している(図表-2)。また、2005年10月の取引利回りはさらに低く、5.0%であった。
(2006年03月10日「不動産投資レポート」)
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竹内 一雅
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