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- 再々考/東京オフィス市場の「2010年問題」 -成長業種が牽引する賃貸オフィス需要
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■要旨
東京23区のオフィスワーカーは、団塊世代の定年退職を待たず、すでに1995年から2000年にかけて14万7千人減少したにもかかわらず、賃貸オフィス市場では需要が拡大した。
2001年から2004年にかけても、オフィスワーカーは3万6千人減少したものと推計されるが、賃貸オフィス市場では、大型オフィスビルの大量供給にもかかわらず、ITブームだった2000年の2倍に相当する170万m2もの新規需要が2003年、2004年の2年間で生じ、空室率も低下傾向にある。
前回のレポート(『再考/東京オフィス市場の「2010年問題」』2005年4月27日)では、オフィスワーカーの減少にもかかわらず賃貸オフィス需要が増加している理由として、オフィスワーカー一人当たり床面積の拡大と、集客型オフィス需要やデータセンター需要など、事務所利用以外のビル需要の増加が緩衝材となっている可能性を示唆した。
今回、その後公表された事業所・企業統計を分析した結果、オフィスワーカー率や賃貸ビル利用比率を業種別に設定することで、オフィスワーカーの総数が減少しても賃貸オフィス需要が増加する可能性を確認できた。製造業などの既存業種に比べて、賃貸ビル指向の強い成長業種でのオフィスワーカー急増が、賃貸オフィス需要を牽引したという見方である。
このような分析から、2010年までの東京の賃貸オフィス市場を次のように展望した。
(1) すでに減少傾向にある東京23区のオフィスワーカーは、団塊世代が定年退職する2005年から2010年にかけてさらに約10万人減少し、その後も長期的な減少局面が続く。
(2) しかし、賃貸オフィス市場では、今後、一人当たり床面積拡大による需要増加効果は期待できないものの、事務所利用以外のビル需要と、成長業種によるオフィス需要の増加が続くものと見込まれる。また、企業の賃貸ビル指向もさらに強まると予想される。
(3) このため、オフィスワーカーの総数が減少しても、景気が著しい後退局面に入らない限り、賃貸オフィス市場の需給関係は大きく崩れることなく、安定的に推移する可能性が高い。
(2005年12月27日「不動産投資レポート」)
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松村 徹
竹内 一雅
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