- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 年金制度 >
- 成功か失敗か評価が分かれるチリの年金改革
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
米国のブッシュ大統領が導入を提唱している、個人勘定のモデルはチリの年金である。1980年に、米国で経済学博士号を得た市場重視派の主導の下、チリではそれまでの賦課方式の年金に代えて、労働者自ら給与の10%を拠出し、その運用残高を老後に受け取る個人勘定を導入した。それから25年を経た現在、労働者の9割が1度は制度に加入した経験を持っている。また、運用利回りの平均は10%を超え、個人勘定の導入は貯蓄率の向上や資本市場の発達、財政支出の抑制など経済改革にも寄与したという。
一方で、失業者や低所得者など未納・未加入の割合が全労働者の4割に達している。わずかな所得から拠出した年金よりも、政府の最低保証年金の方が充実しているので、加入・拠出する意欲を失っている。また、拠出や引き出しの際の口座管理料などが高いので、手数料が積立資産を2割以上減らす結果になっている。
複雑で、破綻寸前と言われたかつての制度に比べると、現在の制度はまだ良いと言えるのかもしれない。チリの経験からは、完璧な年金制度改革を遂行することや、たとえ25年経過しても、改革の評価を定めることが、いかに難しいかが痛感される。
(2005年07月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【成功か失敗か評価が分かれるチリの年金改革】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
成功か失敗か評価が分かれるチリの年金改革のレポート Topへ