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このところ、議論が聞こえてくるのが、退職所得控除の見直しである。勤続20年目まで1年につき40万円、それ以降70万円という控除額の段差が長期勤続を優遇しすぎだというのである。
しかし、もっと大きな問題は他にある。1つは退職所得というだけで、老後の貯蓄に充てられない場合でも、控除を受けることができる点である。消費されても控除を受けられるのでは、「老後の生活費」という優遇の題目が泣く。もう1つは、控除後の受取額の半分にしか課税されないルールである。高額の退職金を何度受け取ろうと、このルールにより実質的な税率が半分になる。
その一方で、確定給付企業年金から受け取った脱退一時金については、今般の制度改正でポータビリティが認められたが、その後勤続年数が少ない間に2回目の転職をすると、控除を受けられなくなる懸念がある。
この問題を解決するには、退職所得全体への控除ではなく、年金など老後の貯蓄に拠出された分だけを非課税とし、その非課税枠に一定の上限を設ける統一的な税制を築くのがよい。退職金・年金税制にも制度疲労が蓄積されている。そろそろ思い切った改革をすべき時期だろう。
(2004年10月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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