2002年12月01日

欧米で見直されつつある債券投資

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過去2年にわたる株式のリターン低迷と金利低下による債務増大により、欧米の確定給付年金では積立割合が低下し、掛け金の追加拠出を強いられる例が増えている。10年以上もリターンの悪化に呻吟してきたわが国の年金関係者は、「ようこそ積立不足の世界へ」と言いたくなるかもしれない。
対応策は年金基金ごとに異なり、もちろん、株価下落分をリバランスするため、株式への投資を増やす基金も少なくない。他方で、年金債務と債券リターンの相関が高い上、株式投資では90年代のような高いリターンが望めないとして債券投資の割合を高める基金もある。親会社の収益悪化や欧州での会計基準の変更、さらに当局による積立基準規制の強化がこれに拍車をかけている。
極端な例として英国の化学会社ブーツ社では、約4000億円の年金基金のポートフォリオを昨年から債券100%に変え、積立余剰を確定させたという。この動きが成功だったかどうか、結果は10年経たないとわからない。しかし、「長期投資家である年金は株式に投資すべきだ」という考えに従わなくとも、受託者として十分な責任を果たしうる実例を示したことは大いに注目できよう。

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【欧米で見直されつつある債券投資】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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