- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 日本企業の財務構造と資金調達の変化
2002年07月01日
- 1975年度から2000年度までの財務構造と資金調達の変化を、財務省の『法人企業統計年報』によって分析した。
- バランスシートの主要項目の構成比をみると、資産項目では、取引形態の変化や在庫管理の改善などにより、棚卸資産を中心に流動資産がウェイトを落とす一方で、有形固定資産や投資といった固定資産のウェイトが高まっている。負債・資産項目では、流動負債がウェイトを落とし、固定負債や資本のウェイトが高まっている。
- リストラの進展などによって、1990年代後半からバランスシートの調整が進んでいるが、固定資産の土地と投資については増加が続いている。固定資産の土地の増加と地価下落の中で注目されるのは、2005年度から導入が予定されている減損会計の影響である。試算によると地価の含み損は35兆円に上るとみられ、減損会計が導入されると少なからぬ損失が発生すると考えられる。
- ROA(総資本事業利益率)は1990年代に大きく低下している。低下の要因をみると、大企業製造業では売上高利益率の低下の影響が大きく、大企業非製造業や中小企業では、バブル期に膨らんだ投資の影響から総資本回転率の低下の影響が大きい。
- 企業の資金過不足をみると、1990年代に入り、企業の実物資産投資の減少が続いており、1998年度以降は資金余剰が生じるようになっている。また、金融資産運用が1990年代にはほぼゼロで推移する中で、1999年度から企業は借入金を中心とする外部からの調達資金を返済する姿勢を強めている。
2002年度は企業業績の回復は見込めるものの、企業は財務体質の改善を重視する姿勢を強め、設備投資の低迷も続くことから、今後とも資金需要は弱く、企業は借入金を中心とする資金の返済を続けることが予想される。
(2002年07月01日「経済調査レポート」)
小本 恵照
研究・専門分野
小本 恵照のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2009/03/25 | 環境問題とCSRに取り組む日本企業 | 小本 恵照 | 基礎研マンスリー |
2009/02/25 | ニッセイ景況アンケート調査結果-2008年度下期調査 | 小本 恵照 | ニッセイ景況アンケート |
2009/01/26 | 中小小売業の現状と今後の経営のあり方 | 小本 恵照 | 基礎研マンスリー |
2008/12/02 | 中小小売業に求められる企業家精神 | 小本 恵照 | 研究員の眼 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月23日
IMF世界経済見通し-ディスインフレは順調に進むが、下振れリスクも -
2024年10月23日
中国経済:24年7~9月期の評価-小幅減速にとどまるも内需悪化には歯止めがかからず、見かけよりも厳しい状況 -
2024年10月23日
円安再燃、1ドル160円に逆戻りするリスクは?~マーケット・カルテ11月号 -
2024年10月23日
大学卒女性の働き方別生涯賃金の推計(令和5年調査より)-正社員で2人出産・育休・時短で2億円超、男性並で3億円超 -
2024年10月23日
目玉焼きは英語でサニーサイドアップ、とは限らない-意図や習慣を踏まえた訳語の選択-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【日本企業の財務構造と資金調達の変化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日本企業の財務構造と資金調達の変化のレポート Topへ