- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 設備投資を下押しする企業行動の変化
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■intrduction
1990年以降伸びが鈍化した設備投資
過去 20年間の推移をみると、設備投資には約4年の循環がみられるが、1990年を境に振幅が下方に大きくシフトしていることがみてとれる。1980年代は拡張期には前年比で10%を超える伸びが続き、低迷期でもマイナスになることは極めて希であった。しかし、1990年代に入ると、5%以下の低い伸びが一般的となり、低迷期にはマイナス幅が5%を超えることも珍しくなくなっている。また、GDPに占める設備投資の割合は、最近では15%程度にまで低下しており、1980年代後半はもちろん、1980年代前半をも下回る水準となっている。
1990年代に入ってからの設備投資の下方シフトは、1994年あるいは1995年を境にさらに2つの時期に区分することができる。前半は、バブル崩壊に伴う経済活動の全般的な停滞、地価・株価の下落、企業業績の急激な悪化などによって設備投資が落ち込んだ時代である。この時期の設備投資の落ち込みは大きいが、当時の経済活動の悪化状況から考えると意外感は少なく、従来からの企業の設備投資行動の延長線上として捉えることが可能である。
後半は、バブルの後遺症は一部残るものの、経済や企業の活動が正常な状況に近づく中で、企業システムの構造調整が進み始めた時代である。会計制度や法制度の改革が進められ、企業のガバナンス構造の在り方が問われだすなど、企業行動の与件となる経済の仕組みが大きく変動し始めた時代である。この時期は、景気循環的な要因よりも上記のような構造変化が、企業の設備投資に対する考え方が変化させ、投資額の下方シフトにつながったとみられる。
(2001年02月01日「経済調査レポート」)
小本 恵照
小本 恵照のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2009/03/25 | 環境問題とCSRに取り組む日本企業 | 小本 恵照 | 基礎研マンスリー |
| 2009/02/25 | ニッセイ景況アンケート調査結果-2008年度下期調査 | 小本 恵照 | ニッセイ景況アンケート |
| 2009/01/26 | 中小小売業の現状と今後の経営のあり方 | 小本 恵照 | 基礎研マンスリー |
| 2008/12/02 | 中小小売業に求められる企業家精神 | 小本 恵照 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年10月30日
潜在成長率は変えられる-日本経済の本当の可能性 -
2025年10月30日
米国で進む中間期の選挙区割り変更-26年の中間選挙を見据え、与野党の攻防が激化 -
2025年10月29日
生活習慣病リスクを高める飲酒の現状と改善に向けた対策~男女の飲酒習慣の違いに着目して -
2025年10月29日
地域イベントの現実と課題-渋谷のハロウィンをイベントとして運営できるか- -
2025年10月28日
試練の5年に踏み出す中国(前編)-「第15次五カ年計画」の5年間は、どのような5年か
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【設備投資を下押しする企業行動の変化】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
設備投資を下押しする企業行動の変化のレポート Topへ










