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■intrduction
日本の自動車市場見通し
99年度の日本の国内市場は、内需(国内販売)に一部底打ち感も出始めているものの、テンポは鈍く、2期連続の国内生産1000万台割れが続く可能性が高い。その要因として、 国内の需要は、軽自動車や一部のコンパクト・カーに片寄っており、大部分の普通車・小型車といった登録車では依然厳しい落ち込みが続いているため、全体としての回復ペースは遅々としたものになる可能性が高いからである。このため全体の需要がほぼ横ばいのなかで、販売車両のモデルミックスが低価格車車にシフトする傾向が続いており、各メーカーの国内における車種構成変動要因は全体としてマイナスの減益要因として表れる可能性がある。したがって国内販売における回復感は乏しいものとならざるを得ないとみられる。 輸出環境は98年度に比べて、悪化が鮮明となっている。欧米市場は堅調で、日本のメーカーのシェアは拡大しているが、完成車輸出については政治的摩擦の要因となることもあり、大幅な拡大は事実上不可能である。アジア向けは底打ち感は出てきたものの、現地市場自体の回復が緩やかなものとなっているため、量的な増加は限られる。もっとも懸念されるのが、中南米、中近東、オセアニア、アフリカといった地域向けの輸出で、特に昨年のロシア危機以後の通貨不安の波及が現地市場に悪影響を及ぼしている。したがって欧米向けの増加でアジア以外の他市場向けの落ち込みを吸収できず、全体の輸出は減少する可能性が高い。
足元の米国自動車市場は、株高を背景にした旺盛な個人消費を背景に、堅調を通り越し、昨年12月には年率換算で1700万台を超えたことにみられるように過熱感が出ている。昨年の秋口のロシア危機以後、金融当局による3度の利下げが燃え盛る個人消費という火に油を注いだ形で、自動車市場は98年4Qで年率1643万台、99年1Qで1634万台と暴走気味である。 しかしここにきて、米金融当局がアジア通貨の安定、南米危機の一段落を背景に、金融調節を引き締め方向に転換したことから、下期から自動車販売は高水準ながらも緩やかに減速しよう。
加藤 摩周
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