- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 企業経営・産業政策 >
- 株主構成とコーポレート・ガバナンス
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
わが国には、「持合などによる株式の安定保有」という特徴的な株式保有構造があり、コーポレート・ガバナンスに大きな影響を及ぼしてきたと言われている。本稿では、安定保有や持合に焦点を当て、株主によるガバナンス効果を明らかにすることを試みる。
分析対象を東証1部上場910社(金融を除く)、期間を1988~1997年度の10期とし、ガバナンスへの影響力を示すものとして「持株比率」を、ガバナンス効果を評価する尺度として株価や業績情報などの「ガバナンス指標」を用いた。また、分析手法として、パネルデータによる回帰分析を採用した。
まず、主な株主の影響力(持株比率)の変化とガバナンス指標の変化の関係を分析した。この結果、安定保有比率・持合比率とガバナンス指標の間には負の相関があること、一方、外国人持株比率とガバナンス指標の間には正の相関があることが示された。次に、株主の影響力の大きさ(持株比率の水準)とガバナンス指標のパフォーマンスの関係を分析した。この結果、持合比率が高い企業グループのガバナンス指標のパフォーマンスは、持合比率が低い企業グループと比較して、相対的に悪化する傾向があること、一方、外国人持株比率が高い企業グループのパフォーマンスは、相対的に改善する傾向があることがわかった。
一連の分析結果から、対象期間においては、安定株主・持合株主がコーポレート・ガバナンスにマイナスの影響を与えてきたこと、対照的に、外国人株主がプラスの影響を与えてきたことが示唆された。この実証分析を元に、株主のガバナンス活動と企業パフォーマンスとの因果関係にまで言及するのは、行き過ぎかも知れない。しかし、本稿では、分析結果に現れたガバナンス効果の差異が、主に株主のコーポレート・ガバナンスへの関わり方の違いにより生じたものと考えている。
(1999年06月25日「ニッセイ基礎研所報」)
新田 敬祐
新田 敬祐のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2011/02/01 | 手元資金の積み上がりに合理性はあるか | 新田 敬祐 | ニッセイ年金ストラテジー |
2010/11/01 | 日本市場におけるインサイダーとアウトサイダーの変化 | 新田 敬祐 | ニッセイ年金ストラテジー |
2010/10/25 | 株式市場における親子上場の存在感とその功罪 | 新田 敬祐 | 基礎研マンスリー |
2009/11/02 | 持合復活はどのように確認されるのか | 新田 敬祐 | ニッセイ年金ストラテジー |
新着記事
-
2025年03月21日
東南アジア経済の見通し~景気は堅調維持、米通商政策が下振れリスクに -
2025年03月21日
勤務間インターバル制度は日本に定着するのか?~労働時間の適正化と「働きたい人が働ける環境」のバランスを考える~ -
2025年03月21日
医療DXの現状 -
2025年03月21日
英国雇用関連統計(25年2月)-給与(中央値)伸び率は5.0%まで低下 -
2025年03月21日
宇宙天気現象に関するリスク-太陽フレアなどのピークに入っている今日この頃
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【株主構成とコーポレート・ガバナンス】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
株主構成とコーポレート・ガバナンスのレポート Topへ