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小渕首相の諮問機関である経済戦略会議は、長期的課題としつつも、「税金で負担する基礎年金以上の報酬比例部分は民営化をめざす」方針を打ち出した。これは先の年金審議会の「国民年金の税方式化は慎重に検討」、「厚生年金の民営化は二重の負担もあり困難」との答申内容と、正反対である。
かくも異なる考え方が出てくること自体、政府部内の意見調整が不十分なことの表れである。民営化論がこれほど根強いものなら、年金審議会レベルでも当然、税方式や民営化についてより深い議論が行われてしかるべきではなかったか。
米国のクリントン政権は、「健全化した政府財政の黒字を社会保障改革にあてる」と宣言し、国民の不安に、堂々と応える姿勢を示している。スキャンダル続きの政権が人気を博しているのも、このような明確な政策提言の賜物であろう。
難問の先送りは良くない。公的年金改革の議論を、基本に戻り、仕切り直して真剣に、始めなければなるまい。
(1999年02月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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