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- 景気転換点予測の方法 -「ニッセイ景気動向判断指数(NBI)」の開発・提供-
現行の公式な景気判断に要する時間は、景気の転換点から1年以上もかかることが多く実際的ではない。転換点を早期にかつ客観的に把握する実際的な判断は、財政政策における「認知のラグ」や財政構造改革法における弾力条項の発動を巡る混乱を改善することが期待される。したがって公式の景気判断では、いわゆる学術的な判断と実際的な判断とに峻別し、実際的な景気判断では公表時期を早め、政府、民間で景気に対する認識の醸成をはかるべきである。
そこで、月次の景気指標を用い逐次的に変化する経済状況を判断する「ニッセイ景気動向判断指数(以下、NBI<NLI Business-Cycle Indexes>)を開発し、98年5月より毎月提供することとした。NBIは、GDPでは表せない景気変化の「スピード」と「強弱」、「転換点」を数量化したものであり、景気の山谷を3~6ヵ月早くつかめるものである。
今般開発したNBIは、経済企画庁において公表されている「景気動向指数」の動きを忠実に再現するニッセイDI、ニッセイCIをもとに推計されている。あえて、経済企画庁と同じ経済指標を使うことにより、景気判断の議論が独りよがりなものにならない、客観性を確保することにも努めた。
景気局面を確率的に数量化した「ニッセイ景気動向判断指数」の開発は、景気判断における速報性、客観性を改善しよう。ただ、「景気転換点の判断ツール」の開発は米国で先行的に進められてきたが、日本では未だ開発途上にある。NBIでもまだ改良の余地が残されているが、NBIを一石として「客観的な物差しによる景気判断」についての議論が広くわき起こり、恣意性を排した景気判断が可能となることを期待した。
(1998年07月25日「ニッセイ基礎研所報」)
日本大学経済学部教授 小巻 泰之
研究・専門分野
日本大学経済学部教授 小巻 泰之のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2017/05/09 | 消費税における軽減税率の効果-景気安定化の観点からの検討 | 日本大学経済学部教授 小巻 泰之 | 基礎研レポート |
2016/05/13 | 労働関連統計にみられる人口減少と高齢化の影響 ~九州地域の場合~ | 日本大学経済学部教授 小巻 泰之 | 基礎研レポート |
2015/07/03 | 消費税増税における「認知ラグ」の影響 | 日本大学経済学部教授 小巻 泰之 | ニッセイ基礎研所報 |
2015/04/21 | 高速交通網整備の地域経済への効果~「陸の孤島」島根県西部地域における公共財の整備~ | 日本大学経済学部教授 小巻 泰之 | 基礎研レポート |
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