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<概況>
米国経済は緩やかな景気減速状況となっている。インフレ面で懸念があるため、FRBは慎重な金融緩和スタンスを続けている。
一方日本経済は、設備投資を中心に順調な景気拡大が続いている。国内需要は、堅調な動きを示している。個人消費は、堅調に推移している。設備投資は、製造業、非製造業ともに増勢を続けている。また、住宅建設は、高い水準で推移している。
鉱工業生産は、電気機械、化学等により10月は前月比0.4%増となるなど増加傾向にある。企業収益は更に増加を続けており、企業の業況判断も良好感が極めて高い水準にある。日銀短観('89年11月調査)によると、主要企業(全産業)では、元年度上期の経常利益は前年同期比13.8%の増益(除く電力・ガス・リースでは同16.2%の増益)の後、元年度下期には同3.3%の増益(除く電力・ガス・リースでは同7.9%の増益)が見込まれている。
雇用情勢は、10月の完全失業率が2.27%と依然低い水準を持続している。さらに、有効求人倍率は10月1.30倍と、引き締まり基調となっており、企業の人手不足感は拡がりが見られる。
一方、物価環境をみると11月の国内卸売物価は前月比0.1%下落したのに対し、契約通貨ベースでは下落した一方、円安から輪出物価が同0.6%上昇、輸入物価が同0.3%上昇した。その結果、総合卸売物価は、前月比0.1%の下落となった。
消費者物倒は10月の前月比0.8%上昇から11月同1.0%の下落となった。一方、12月の東京都区部消費者物価(中旬、速報値)は前月比0.1%の上昇となった。景気堅調に伴う製品・労働需給の引き締まりを踏まえると安定基調を持続しているものの、物価上昇圧力は高まってきていると言えよう。
このような状況の下、日銀は12月25日公定歩合を0.5%引き上げ4.25%とした。貿易動向についてみると、通関輸出(数量ベース)は、10月前月比7.5%減の後、11月(速報)は、同3.1%増となった。地域別(ドルベース)にみると、西欧、米国向け等が増加している。
通関輸入(数量ベース)は、10月前月比0.3%減の後、11月(速報)は、同4.1%増となった。原油輸入価格(CIFベース)は、11月1バーレル当たり17.4ドルと2.4%上昇した。最近数ヵ月の動きを品目別(ドルベース)にみると、製品類、鉱物性燃料等が増加している。同じく地域別にみると、米国、中近東からの輸入が増加している。
(1990年02月01日「調査月報」)
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