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<概況>
米国経済は緩やかな景気減速状況となっている。インフレは天井感が強まっているが、FRBは慎重な緩和スタンスを続けている。
一方日本経済は、設備投資を中心に順調な景気拡大がつづいている。'89年4-6月期の実質GNP成長率は、前期比0.8%減、年率3.1%減となった。1-3月期の年率9.6%成長から1年振りのマイナス成長に転じたのは、個人消費が消費税実施前の駆け込み需要の反動で前期比1.3%減と、'86年1O-12月期以来のマイナスに転じたのが主因である。
ただ、消費税の影響を除いた成長率は、堅調な推移を辿っており、景気の拡大傾向は当面続こう。
国内需要は、堅調な動きを示している。個人消費は、堅調に推移している。設備投資は、製造業、非製造業ともに増勢を続けている。また、住宅建設は、高い水準で推移している。
鉱工業生産は、8月前月比2.9%増と堅調に増加するなど引き続き改善している。労働力需給は引き締まり慕調が続いており、企業の人手不足感には一段の拡がりがみられる。
日銀短観(89年8月調査)によると、先行き今年度下期にかけての主要企業・製造業の売上げ計画は、輸出については、やや慎重な見方となっているが、内需の増勢持続から、引き続き着実な増加が見込まれており、収益も増益基調持続が予測されている。こうした状況下、今年度の設備投資計画はさらに上積みが図られ、前年度に続き2桁を越える増加となっている。
雇用情勢は、8月の完全失業率が2.3%と前月に比べ0.1%悪化したものの、依然低い水準を持続している。さらに、有効求人倍率は8月1.32倍で引き締まり基調にあり、企業の入手不足感は拡がりがみられる。
一方、物価環境をみると9月の国内卸売物価は前月比0.1%上昇するとともに、輸出物価が同1.4%上昇、輸入物価が同1.3%上昇したため総合卸売物価は前月比同0.1%の上昇となった。
また、消費者物価は7月の前月比0.1%下落に続き、8月同0.1%下落した。しかし、9月の東京都区部消費者物価(中旬、速報値)も同1.0%の上昇となった。景気堅調に伴う製品・労働需給の引き締まり、為替円安推移等の状況を踏まえると、物価は安定基調を持続しているものの、上昇圧力が高まっていると言えよう。
貿易動向についてみると、通関輸出(数量ベース)は、9月前月比0.8%増で、品目では自動車、一般機械等が増加している。通関輸入(同)は、9月7.9%減となった。原油輸入価格(CIFベース)は、9月1バーレル16.9ドルと前月に比べ0.3ドル下落した。最近数ヵ月の動きを品目別にみると、製品類、原料品等が増加している。
8月(速報)の経常収支(季節調整値)は、貿易収支の黒字幅が、拡大し、貿易外収支の赤字幅も縮小したため、その黒字幅は拡大し、7,167億円(50.8億ドル)となった。ただ、経常収支の黒字幅は一進一退ながら縮小傾向にある。
(1989年12月01日「調査月報」)
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