1988年12月01日

オーストラリアに対する直接投資の動向

小山 正裕

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■見出し

1.はじめに
2.オーストラリアへの直接投資残高推移
3.直接投資に対する規制
4.日本からの直接投資に対する評価
5.今後の直接投資

■はじめに

オーストラリア経済は、これまで黒富な天然資源を利用した鉱業及び農牧蓄産業を中心に成長を遂げてきた。大規模な資源開発の波に乗り、経常収支が黒字を示す年度もあったが、'80年代に入り、第2次オイルショック以降の世界景気の後退を受け、商品市況が軟化、経常収支は悪化した。対外累積債務は増加、インフレが続く中で、'83年に誕生したホーク労働党政権は、経済危機打開のため、製造業の高度化、資源依存型経済からの脱却、産業構造の転換を重要課題としてきた。製造業を中心とした外資導入はその重要な一手段と考えられる。

同政権は現在に至るまで、外資法、ガイドラインの大幅な緩和、労使関係の改善を進め、直接投資の受入れ体制を整備してきている。直接投資残高は堅調な伸びを示している一方で、その中味を見ると、政府の意図する海外からの投資分野と、実際に投資されている分野にはズレがあるとの指摘もなされている。また、経常収支、インフレ共に改善基調を示してきたものの、一次産品依存型の経済体質に依然変わりは見られない。

ここでは、オーストラリアへの直接投資の動向、外資規制緩和の推移を見ていくと共に、オーストラリアにとって最大の貿易相手国である日本からの投資実態について見てみたい。

(1988年12月01日「調査月報」)

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