- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 大統領選後の米国経済政策 -クライン教授インタビュー
■introduction
レーガノミックスの功罪と大統領選挙後のアメリカの経済政策および経済動向について、基礎研ニューヨーク事務所駐在の熊坂主任研究員がローレンス・クライン教授(ペンシルバニア大学ウォートンスクール)にインタビューを行った。
【要約】
(レーガノミックスの評価)
- 低インフレ・低金利が実現され、成長期間も長期であったものの、初期にリセッションという多大なコストを支払った。
- 失業率は低下したが、在任期間の平均失業率が低かったわけではない。
- インフレの抑制はリセッションという多大なコストを伴った過度の金融引き締めと、石油をはじめとする商品価格の低下によるところが大きい。
- 貯蓄率の低下、貿易赤字、財政赤字に加えて、所得の不平等化の進行という副作用があった。
(ブラック・マンデー)
- 昨年10月の大暴落は、巨額の財政赤字と貿易赤字の中での行き過ぎた投機が原因であり、ベーカー財務長官と西独政府との政策の衝突がキッカケである。
- 第二のクラッシュの可能性はある。
(米国経済の短期見通し)
- ソフト・ランデイングを予想している。
(インフレと米国経済政策)
- インフレ懸念は残るものの、商品価格の低下や生産性上昇の結果、短期的には急激なインフレは生じない。大統領選挙後は、財政再建へ向け支出削減・増税が行われ、それに伴い金融は緩和されよう。
(貿易赤字と為替)
- 輸出は農産物が回復し堅調、輸入はエネルギー・プログラムの破棄による石油輸入増が続く上に消費者の輸入品依存体質に大きな変化がなく増加。貿易収支の改善ペースは鈍化していくことになろう。そのため、更にドル安が進み、1ドル=120~125円が予想される。
- 貿易政策は概してフェアで保護主義に傾くことはない。
(財政赤字)
- 両候補の現在の財政赤字削減の処方箋はサプライサイダーのそれで、経済成長のスピードにかかっている。増税や支出削減に関する選挙前の発言は余り信じられない。NECのプランも選挙後の検討となろう。
- クライン教授自身は軍事・福祉関連の支出削減と増税の両者を勧める。
このレポートの関連カテゴリ
ローレンス クライン
インタビュアー:熊坂 有三
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月18日
サイレントマジョリティ⇒MAGAで熱狂-米国大統領選挙でリベラルの逆サイレントマジョリティはあるか- -
2024年04月18日
「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2023年】(1)~東京23区の新築マンション価格は前年比9%上昇。資産性を重視する傾向が強まり、都心は+13%上昇、タワーマンションは+12%上昇 -
2024年04月17日
IMF世界経済見通し-24年の見通しをやや上方修正 -
2024年04月17日
不透明感が高まる米国産LNG(液化天然ガス)輸入 -
2024年04月17日
英国雇用関連統計(24年3月)-失業率は増加し、雇用者数も減少
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【大統領選後の米国経済政策 -クライン教授インタビュー】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
大統領選後の米国経済政策 -クライン教授インタビューのレポート Topへ