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- 曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その10)-螺旋と渦巻の種類-
コラム
2025年01月07日
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はじめに
学生時代に、複雑な算式を図表で表すと、いろんな形の曲線が描かれるのを勉強したと思う。この時には、「へー、そうなんだ」ぐらいの認識でおられた方も多く、むしろ、こうした算式の取扱いに四苦八苦して、結果として得られている曲線が、社会において、あるいは自然界において、どのような形で現れていて、どう役立っているのか、については、あまり説明がなく、殆ど勉強する機会もなかったのではないかと思われる。
ということで、今回の研究員の眼のシリーズでは、「曲線」について、どんな種類があって、それらが実際の社会における、どのような場面で現れてきて、どう社会に役立っているのかについて、報告している。これまでの9回の研究員の眼では、楕円、放物線、双曲線等の「円錐曲線」、「カテナリー曲線」、「クロソイド曲線」、「サイクロイド曲線・トロコイド曲線」、「リサージュ曲線」及び「バラ曲線」、「カッシーニの卵形線」、「レムニスケート」、「デカルトの正葉線」について報告した。
今回は、各種の「螺旋(らせん)」や「渦巻(うずまき)」について、3回に分けて報告する。まずは、「螺旋」や「渦巻」の主要な種類について、その数式での表現と特性等について、簡単に紹介する。
ということで、今回の研究員の眼のシリーズでは、「曲線」について、どんな種類があって、それらが実際の社会における、どのような場面で現れてきて、どう社会に役立っているのかについて、報告している。これまでの9回の研究員の眼では、楕円、放物線、双曲線等の「円錐曲線」、「カテナリー曲線」、「クロソイド曲線」、「サイクロイド曲線・トロコイド曲線」、「リサージュ曲線」及び「バラ曲線」、「カッシーニの卵形線」、「レムニスケート」、「デカルトの正葉線」について報告した。
今回は、各種の「螺旋(らせん)」や「渦巻(うずまき)」について、3回に分けて報告する。まずは、「螺旋」や「渦巻」の主要な種類について、その数式での表現と特性等について、簡単に紹介する。
螺旋、渦巻とは
「螺旋(helix)」というのは、3次元曲線の一種で、回転しながら回転面に垂直な方向へ移動(上昇または下降)する曲線で、「螺線」ともいう1。
一方で、2次元曲線で、渦が巻くように旋回するにつれて中心から遠ざかる(あるいは逆向きに中心に近づく)曲線(中心に向かって、あるいは中心から離れて移動し、半径が連続的に変化する曲線)は「渦巻(spiral)」と呼ばれる。ただし、渦巻も「螺旋」や「螺線」と呼ぶことがあり、両者を区別するために、3次元曲線を「弦巻線」、2次元曲線を「渦巻線」と称したりする場合もある。
即ち、螺旋と渦巻を比較すると、以下の通りとなっている。
ただし、実際には、日本語では(渦巻きの場合を含めて)「螺旋」の用語が幅広く使用されているようだ。
一方で、2次元曲線で、渦が巻くように旋回するにつれて中心から遠ざかる(あるいは逆向きに中心に近づく)曲線(中心に向かって、あるいは中心から離れて移動し、半径が連続的に変化する曲線)は「渦巻(spiral)」と呼ばれる。ただし、渦巻も「螺旋」や「螺線」と呼ぶことがあり、両者を区別するために、3次元曲線を「弦巻線」、2次元曲線を「渦巻線」と称したりする場合もある。
即ち、螺旋と渦巻を比較すると、以下の通りとなっている。
ただし、実際には、日本語では(渦巻きの場合を含めて)「螺旋」の用語が幅広く使用されているようだ。
1 「螺」は、タニシ(田螺)やサザエ(栄螺)のような巻き貝の貝殻を意味している。
螺旋
螺旋には、いろいろな種類があり、例えば以下のようなものが挙げられる。
・「円形螺旋(circular helix)」あるいは「円筒形螺旋又は円柱螺旋(cylindrical helix)」は、一定の半径で移動する場合の曲線で、円柱面上の曲線となる。
・「円錐螺旋(Conical helix 又はConical spiral)」は、円錐の頂点に向けて(上下の両方向からを含めて)収束していく、円錐面上の曲線となる。
・「二重螺旋(double helix)」は、同じ軸を持つ2つの(通常は合同の)螺旋で構成され、軸に沿って上下に移動する場合の軌跡が異なっている。
・「円形螺旋(circular helix)」あるいは「円筒形螺旋又は円柱螺旋(cylindrical helix)」は、一定の半径で移動する場合の曲線で、円柱面上の曲線となる。
・「円錐螺旋(Conical helix 又はConical spiral)」は、円錐の頂点に向けて(上下の両方向からを含めて)収束していく、円錐面上の曲線となる。
・「二重螺旋(double helix)」は、同じ軸を持つ2つの(通常は合同の)螺旋で構成され、軸に沿って上下に移動する場合の軌跡が異なっている。
円形螺旋
円錐螺旋
「円錐螺旋」については、媒介変数θを用いて、以下のように表される。
x=r(θ) cosθ
y=r(θ) sinθ
z=z0+m・r(θ)
ここで、mはx-y平面に対しての円錐の傾きを表している。
これは、以下のようにも表される。
m(x2+y2)=(z-z0)2 m>0
このような螺旋を平面に投影すると、平面上の螺旋となる。例えば、r(θ)=aθ の場合、下記で紹介する渦巻の一種のアルキメデス螺旋になる。
x=r(θ) cosθ
y=r(θ) sinθ
z=z0+m・r(θ)
ここで、mはx-y平面に対しての円錐の傾きを表している。
これは、以下のようにも表される。
m(x2+y2)=(z-z0)2 m>0
このような螺旋を平面に投影すると、平面上の螺旋となる。例えば、r(θ)=aθ の場合、下記で紹介する渦巻の一種のアルキメデス螺旋になる。
渦巻
以下では、2次元曲線の渦巻について、その主要な種類を紹介していく。なお、これらの渦巻の英語表現では「spiral」が使用されている。日本語でも、本来的には英語と同様に「スパイラル」との名称で呼ばれることが望ましいと思われ、実際にそのように使用している例も多いが、より一般的には「螺旋」の名称が付与されているようなので、以下の記述は「螺旋」という用語を使用している。
代数螺旋
「代数螺旋」は、代数的な式で表される螺旋で、以下のものが挙げられる。これらの代数螺旋は、極方程式(極座標による方程式)でr=aθkと表現される。
・アルキメデスの螺旋(Archimedes' spiral)(k=1の場合)
・放物螺旋(Parabolic spiral)(k=1/2の場合)
・双曲螺旋(hyperbolic spiral)(k=-1の場合)
・リチュース螺旋(Lituus)(k=-1/2の場合)
・アルキメデスの螺旋(Archimedes' spiral)(k=1の場合)
・放物螺旋(Parabolic spiral)(k=1/2の場合)
・双曲螺旋(hyperbolic spiral)(k=-1の場合)
・リチュース螺旋(Lituus)(k=-1/2の場合)
アルキメデスの螺旋
「アルキメデス(の)螺旋(Archimedes' spiral又はArchimedean spiral)」は、まさに紀元前3世紀のギリシャの数学者アルキメデスに因んで名付けられた曲線で、後に述べる特性から「算術螺旋(arithmetic spiral)」とも呼ばれる。
この螺旋は、以下の極方程式で表される。
r=aθ
因みに、直交座標表示では、以下のような算式となる。

この曲線は、線同士が等間隔の渦巻で、θが負の場合も含めると、y軸に対して線対称になる(以下の図では、θが正の場合と負の場合を別に示している)。
これは、一定の角速度で回転する線に沿って一定の速度で固定点から離れる点の経時的な位置に対応する軌跡となっている。
また、アルキメデスの螺旋は、原点からの任意の光線が一定の分離距離(θをラジアンで測定する場合は2πbに等しい)の点で螺旋の連続した回転と交差するという特性を持っているため、「算術螺旋」という名前が付けられている。
この螺旋は、以下の極方程式で表される。
r=aθ
因みに、直交座標表示では、以下のような算式となる。

この曲線は、線同士が等間隔の渦巻で、θが負の場合も含めると、y軸に対して線対称になる(以下の図では、θが正の場合と負の場合を別に示している)。
これは、一定の角速度で回転する線に沿って一定の速度で固定点から離れる点の経時的な位置に対応する軌跡となっている。
また、アルキメデスの螺旋は、原点からの任意の光線が一定の分離距離(θをラジアンで測定する場合は2πbに等しい)の点で螺旋の連続した回転と交差するという特性を持っているため、「算術螺旋」という名前が付けられている。
放物螺旋
「放物螺旋(Parabolic spiral)」又は「フェルマーの螺旋(Fermat's spiral)」は、螺旋の周りの任意の2つの連続した周回の渦で囲まれた間の領域が不変(詳細は以下で説明)であるという特性を持つ平面曲線である。
この螺旋は、以下の極方程式で表される。

因みに、直交座標表示では、以下のような算式となる。
この曲線は、原点で滑らかに繋がる2本の螺旋で構成され、外側に行くほど渦の間隔は狭くなっていく。周回の渦の間の距離は螺旋の中心からの距離に反比例し、アルキメデスの螺旋(この距離は不変)や対数螺旋(この距離が中心からの距離に比例)とは対照的な曲線となっている。この曲線は1636年に「フェルマーの最終定理」4等で有名なフランスの数学者ピエール・ド・フェルマー(Pierre de Fermat)によって論じられたことから、彼に因んだ名称が付与されている。
完全なフェルマーの螺旋(両方に分岐したもの)は、アルキメデスの螺旋や双曲螺旋とは対照的に、線、円、放物線のように、平面を2つの接続された領域に分割する。
この螺旋は、以下の極方程式で表される。

因みに、直交座標表示では、以下のような算式となる。

この曲線は、原点で滑らかに繋がる2本の螺旋で構成され、外側に行くほど渦の間隔は狭くなっていく。周回の渦の間の距離は螺旋の中心からの距離に反比例し、アルキメデスの螺旋(この距離は不変)や対数螺旋(この距離が中心からの距離に比例)とは対照的な曲線となっている。この曲線は1636年に「フェルマーの最終定理」4等で有名なフランスの数学者ピエール・ド・フェルマー(Pierre de Fermat)によって論じられたことから、彼に因んだ名称が付与されている。
完全なフェルマーの螺旋(両方に分岐したもの)は、アルキメデスの螺旋や双曲螺旋とは対照的に、線、円、放物線のように、平面を2つの接続された領域に分割する。
(2025年01月07日「研究員の眼」)
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経歴
中村 亮一のレポート
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