- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- オーストラリア経済の見通し-1-3月期GDPは前期比1.0%増。18年以降は成長が加速
2018年06月08日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
(政府消費) 財政収支は改善傾向。歳出は引き続き増加傾向
1-3月期の政府消費は前期比1.6%増となった。政府消費の内訳を見ると、連邦政府と州・地方政府はともに歳出の拡大傾向が続いている。5月に発表された連邦政府の予算計画を見ると、今後も連邦政府の歳出拡大が続くと見られ、引き続き政府消費が景気を下支えするだろう。
1-3月期の政府消費は前期比1.6%増となった。政府消費の内訳を見ると、連邦政府と州・地方政府はともに歳出の拡大傾向が続いている。5月に発表された連邦政府の予算計画を見ると、今後も連邦政府の歳出拡大が続くと見られ、引き続き政府消費が景気を下支えするだろう。
(総固定資本形成) 民間部門・公的部門ともに投資は拡大
1-3月期の総固定資本形成は前期比0.5%増となった。今後は、住宅投資は軟調であるが、底割れの懸念は小さく、一方で企業の設備投資と公的固定資本形成の拡大が期待されるため、総固定資本形成は堅調に推移するだろう。
1-3月期の住宅投資は、前期比0.9%増と2四半期連続のマイナス成長からプラス成長に転じた。政府の融資規制強化によって、ここ2年ほどは中国の不動産投資は減少傾向にあるが、住宅投資は一進一退が続いており、底割れには至っていない。また、住宅着工許可件数も堅調に推移しており、4月の水準は3年ぶりの高水準となっている。これは、投機目的の需要が減少しても、旺盛な居住目的需要が住宅需要を下支えしており、依然として供給が追いついていないためだと考えられる。今後も中国からの投資は減少傾向が続くと予想されるが、居住目的需要は堅調に推移し、住宅投資は底堅い展開となるだろう。
1-3月期の総固定資本形成は前期比0.5%増となった。今後は、住宅投資は軟調であるが、底割れの懸念は小さく、一方で企業の設備投資と公的固定資本形成の拡大が期待されるため、総固定資本形成は堅調に推移するだろう。
1-3月期の住宅投資は、前期比0.9%増と2四半期連続のマイナス成長からプラス成長に転じた。政府の融資規制強化によって、ここ2年ほどは中国の不動産投資は減少傾向にあるが、住宅投資は一進一退が続いており、底割れには至っていない。また、住宅着工許可件数も堅調に推移しており、4月の水準は3年ぶりの高水準となっている。これは、投機目的の需要が減少しても、旺盛な居住目的需要が住宅需要を下支えしており、依然として供給が追いついていないためだと考えられる。今後も中国からの投資は減少傾向が続くと予想されるが、居住目的需要は堅調に推移し、住宅投資は底堅い展開となるだろう。

1-3月期の企業の営業利益は前期比5.9%と3四半期連続のプラス成長となった(図表9)。また企業の景況感も、4月の水準が17年10月に並ぶ過去最高の水準に達するなど、高水準を維持しており、企業の設備投資は今後も堅調に推移するだろう。また、7月から売上高が5000万豪ドル未満の企業の法人税率が引き下げられることも投資の拡大につながると期待される。それ以外の企業を対象とした法人税減税法案の成立見通しは不透明であるが、成立した場合、総固定資本形成のさらなる押上げ要因となるだろう。
公的固定資本形成は、大規模なインフラ投資で短中期的に押し上げられるだろう。総額750億豪ドルのうち、245億豪ドルを18/19年度予算で拠出する予定で、その規模は16/17年度の公的固定資本形成の0.4年分に相当する。また、ビクトリア州が18/19年度予算においてインフラ投資に過去最高額を拠出するなど、州政府でもインフラ投資拡大の動きが見られるため、早期に総固定資本形成の押上げ効果は現れるだろう。
(純輸出) 中国における鉄鉱石需要の鈍化が純輸出の押下げ要因
純輸出の寄与度は前期比0.3%ポイントと、3四半期ぶりのプラス寄与となった。今後は、足元の輸出を牽引する中国向けの液化天然ガス需要は堅調と見込まれるが、一方で主要輸出品である鉄鉱石は中国における需要が鈍化すると見込まれるため、純輸出の寄与度は低下していくだろう。
通関ベースで見ると、18年1-4月期の輸出総額は、中国向けの液化天然ガスなど鉱物燃料の輸出が好調で前年を上回った(図表10)。また、同期間の輸入総額も、資本財や中間財を中心に前年を上回った。貿易収支は、17年12月から4ヵ月連続の黒字となっている。
輸出総額の約3割を占める鉄鉱石は、最大の輸出先である中国における鉄鋼の需給調整によって価格が緩やかに下落しており、1-4月期の輸出額も前年を下回っている。今後も中国における鉄鉱石需要が鈍化し、鉄鉱石価格が下落すると見込まれるため、輸出の押下げ要因となるだろう。さらに、中国との関係悪化が深刻化するようであれば、輸出への悪影響が懸念される。
純輸出の寄与度は前期比0.3%ポイントと、3四半期ぶりのプラス寄与となった。今後は、足元の輸出を牽引する中国向けの液化天然ガス需要は堅調と見込まれるが、一方で主要輸出品である鉄鉱石は中国における需要が鈍化すると見込まれるため、純輸出の寄与度は低下していくだろう。
通関ベースで見ると、18年1-4月期の輸出総額は、中国向けの液化天然ガスなど鉱物燃料の輸出が好調で前年を上回った(図表10)。また、同期間の輸入総額も、資本財や中間財を中心に前年を上回った。貿易収支は、17年12月から4ヵ月連続の黒字となっている。
輸出総額の約3割を占める鉄鉱石は、最大の輸出先である中国における鉄鋼の需給調整によって価格が緩やかに下落しており、1-4月期の輸出額も前年を下回っている。今後も中国における鉄鉱石需要が鈍化し、鉄鉱石価格が下落すると見込まれるため、輸出の押下げ要因となるだろう。さらに、中国との関係悪化が深刻化するようであれば、輸出への悪影響が懸念される。
3――物価・金融政策の動向
(物価・金融政策)短期的に大きな動きはないと予想
インフレ率は依然として、目標下限の2.0%を下回っており、インフレ圧力も弱いため、中央銀行は当面の間、政策金利を据え置くだろう。
インフレ率は依然として、目標下限の2.0%を下回っており、インフレ圧力も弱いため、中央銀行は当面の間、政策金利を据え置くだろう。

オーストラリア連邦準備銀行(RBA)は、6月5日の金融政策決定会合において、市場の予想通り、政策金利を20会合連続で過去最低水準の1.5%に据え置いた。同行は、国内経済の成長が今後加速し、インフレ率の上昇や賃金の上昇につながるものの、そのペースは緩やかであるという見解を示している。利上げが家計債務負担の増加につながることも踏まえると、当面政策金利は据え置かれる見込みであるう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2018年06月08日「基礎研レター」)
このレポートの関連カテゴリ
神戸 雄堂
神戸 雄堂のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2020/02/12 | 豪州経済の重石となる気候変動問題~注目されるエネルギー政策の行方~ | 神戸 雄堂 | 基礎研レター |
2019/12/05 | 豪州の7-9月期GDPは前期比0. 4%増~公共部門が下支えも民間部門は不振が続く~ | 神戸 雄堂 | 経済・金融フラッシュ |
2019/11/01 | 公共土木施設の被害額から見る自然災害の趨勢 | 神戸 雄堂 | 基礎研レター |
2019/10/16 | ロシア経済の見通し-停滞が続く経済。20年は内需の回復で加速も、緩慢な成長に留まるか。 | 神戸 雄堂 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【オーストラリア経済の見通し-1-3月期GDPは前期比1.0%増。18年以降は成長が加速】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
オーストラリア経済の見通し-1-3月期GDPは前期比1.0%増。18年以降は成長が加速のレポート Topへ