- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- >
- 運用リスク管理 >
- パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■見出し
1―はじめに
2―定量評価と投資の時間論
3―定性評価について考える
4―終わりに
■introduction
AIJ投資顧問問題が発覚した際、公表されたパフォーマンス・データは「良過ぎてありえない」とかねてより思っていたとの声が資産運用業界の中で続出した。だが、運用評価機関がAIJ投資顧問を顧客に推奨しなかったのは情報開示姿勢に問題ありとしたからであって、過去のパフォーマンスが理由ではなかった。統計的にほとんど起こりえないということと、実際に起こったか起こらないかは別の話である。パフォーマンスが「良すぎる」ことが問題だというところで思考停止してしまえば、ありうる程度の数値に捏造されたデータを見抜けないことになる。また、本当にスキルのある運用会社を見落とすことにもなる。
米国においてもバーナード・マドフ事件という、一説によれば被害総額650億ドルに上る詐欺事件が起こったことがある。このような事例は例外的ではないかと思われるかもしれないが、2003年には米国のミューチュアル・ファンド業界を舞台に不正問題が発生した。これは詐欺事件とは異なりフロント・ランニング等のスキャンダルであったが、資産運用会社が顧客重視の姿勢を貫いているのか、という運用会社としての原点そのものが問われるものであった。それを受けて2004年に投信評価会社であるMorningstar社はStewardship gradesというファンドの定性評価を開始した。それまでは過去のパフォーマンスによってファンドのレーティングを付与していたのに対し、経営陣の質や企業文化などを含む5項目から成っている、新たなレーティングを創設したのである。2004年の公表以降、データの蓄積が進んだこともあり、米国ではStewardship gradesによるファンドの定性評価とパフォーマンスとの関係の実証分析が行われている。
運用のパフォーマンス評価に関しては、運用評価会社やコンサルティング会社などから多くの情報が顧客に提供されているが、評価および評価方法の問題点や将来のパフォーマンスとの関連性については明確でないことも多い。そこで本稿では、海外の実証分析結果の概略を紹介しながら、パフォーマンス評価(定量評価・定性評価)にまつわる論点を整理することを試み、パフォーマンス評価に対してどのような姿勢で臨めばよいのかを考えたい。
(2012年05月31日「基礎研レポート」)
遅澤 秀一
遅澤 秀一のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2014/05/07 | バリュー株ファンドのパフォーマンスの相違と要因分解について | 遅澤 秀一 | ニッセイ年金ストラテジー |
2013/12/02 | クール・ジャパン戦略について - われわれは失われた20年間に何を得たのか - | 遅澤 秀一 | 研究員の眼 |
2013/08/05 | 日本株式市場のバブル局面を比較する | 遅澤 秀一 | ニッセイ年金ストラテジー |
2013/07/17 | なぜ昔の製造業の現場は力があったのか | 遅澤 秀一 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く -
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
パフォーマンス評価-評価基準は常識なのか迷信なのかのレポート Topへ