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最近、外国でわが国の良くない話を耳にした。今回の金融危機で先進各国の財政赤字が急増したが、中でもわが国は、経済対策のため財政赤字が突出した上、政権交代で政治基盤が弱く、成長率の低い国という、欧米の人々にとっては、今後、自国に起こりうる悪いケースとして取り上げられていた。
国の舵取りは国民が選挙で選んだ政治家の役割であるが、年金基金としては政治家のマニフェストや実行力に期待してただ待っているわけにはいかない。気にかけるべきリスクが、インフレーションとそれに伴う金利上昇(債券価格の下落)があろう。
経済が低迷しているこのご時世にあり得ない話と思うかもしれないが、過去において歳出削減と増税で財政赤字縮小に成功した国はほとんどなく、巨額な政府債務の解消には、少子高齢化による労働力不足を伴う質の悪いインフレーションが懸念される。
インフレーションを予期した金利上昇は、LDIにおける年金債務のヘッジのために投資した債券価格が下落した場合に悪影響がある。加えて、急落リスクが生じたときに十分な流動性が確保できるか否かが、さらなる不安材料であろう。
(2010年08月02日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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