- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 社会保障制度 >
- 年金制度 >
- 制約だらけの公的年金の行方
2004年の公的年金改革の意義を復習すると、保険料を引き上げてきた歴史から決別し、保険料固定方式の導入が目玉であった。保険料率の“上限”を約18%とし、これ以上の引き上げがないことが国民に約束された。
その代わりに、マクロ経済スライドという、余命の伸びや被保険者の減少に応じて年金給付を削減する自動調整機能が導入された。これにより年金財政は持続可能になるはずであった。
しかし実際には、給付水準は最低50%を維持するという“下限”が追加された。わが国の公的年金は“上限”と“下限”に挟まれ、がんじがらめの様相にある。その上、肝心の自動調整機能でさえ、実質的には未だ発動されていない。
このように自由度を失っている年金制度に、最低保障年金7万円という新たな下限が追加されようとしている。財源が税とはいえ、国民が負担することには変わりがなく、負担を抑えるための自動調整機能に逆行する新たな制約になりかねない。
年金制度が息を吹き返すためには、まず、改革の着実な実行を考えるべきではないだろうか。
(2009年10月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年10月11日
ふるさと納税の新たな懸念-ワンストップ特例利用増加で浮上する課題 -
2024年10月10日
米国のベンチャー業界におけるジェンダー問題への取り組み -
2024年10月10日
企業物価指数2024年9月~輸入物価は下落したが、国内企業物価は前月から伸び拡大~ -
2024年10月10日
日本の不妊治療動向2022-2022年の総治療周期数は543,630件と、前年より45,490件の増加、治療ピークは42歳で保険適用年齢の制限が影響か- -
2024年10月10日
実効性と成果が問われ始めた企業のサステナビリティ推進-稼ぐ力との両立を目指す「サステナブルマーケティング」とは
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
【制約だらけの公的年金の行方】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
制約だらけの公的年金の行方のレポート Topへ