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ITバブル崩壊後の米国では、将来の株式リスク・プレミアムについて真剣な議論が起こった。資産配分の決定に、株式のリターン(構成要素のリスク・プレミアム)の推計値が大きく影響することはご承知の通りである。株価の暴落を受け、従来の推計値では高すぎるのではないかという問題意識ゆえに、サプライサイド・アプローチ等の推計方法の精緻化が図られるようになった。
しかし本来、このような議論は90年台初頭の日本においてこそなされるべきであったろう。しかるに、当時は米国で主張されていた通り、長期的には株式のリターンは高いのだから株のウエイトを増やすべきとの声が多数で、そのことに疑いも持たれなかった。
日本ではファイナンスが輸入学問であるため、米国の理論や手法の導入に重きが置かれ過ぎるきらいがある。しかし、ファイナンスは実学であり、現実と向き合うことが求められる。少子高齢化が進む日本の現状は米国とは異なる。日本の現実に対して本質を明らかにするという問題意識を持って、ファイナンス理論を応用していくことが肝要であろう。
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