- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 財政・税制 >
- 求められる税と社会保障制度の一体的な改革
求められる税と社会保障制度の一体的な改革

櫨(はじ) 浩一

篠原 哲
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 今後人口構造の高齢化がさらに進む過程で、年金や医療、介護など社会保障制度を支えるための負担増は避けられず、極端に悪化している財政収支の改善のために税負担の増加も必要となるなど、税と社会保障負担の両面から国民の負担増が見込まれる。
- 税と社会保障負担を合わせた国民負担は長期的に増加してきたが、社会保障負担が高まる一方で、税負担は低下気味である。財政赤字が大幅に拡大している要因としては、減税や景気低迷によって所得・利益が減少し、税収が低迷していることが挙げられる。しかしこれ以外の要因として、社会保障負担が増加することにより、社会保険料控除を通じ税収が低下する効果も無視できない。
- 公表されている所得税、住民税の課税最低限度額は、社会保障負担の増加による課税最低限度の引き上げ効果を十分反映していないため、実際の課税最低限度よりも低くなっている。今後社会保険料が引き上げられていくことによって、さらに現実との乖離が拡大していってしまうおそれがある。
- 今後社会保障負担が増加していくことによって、家計が負担する所得税がどのような影響を受けるか、政府案による年金制度改革が実施された場合について試算を行った。モデル世帯を用いた試算では、年収500万円の世帯について見ると、現在8.7万円である所得税額は、社会保険料負担が増加することで2025年には7.1万円となり、約▲1.6万円減少する。一般的な世帯の所得税について、2割近い減税が実施されることと同じ効果がある。
- 社会保障負担が増加を続けていくと、課税最低限度が上昇し納税者割合が低下するなどの問題が深刻化する。あるべき税と社会保障負担の姿を考える上では、税と社会保障制度を一体として負担や給付のあり方を検討する必要がある。
(2004年04月01日「経済調査レポート」)
櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
篠原 哲
新着記事
-
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ -
2025年04月30日
「スター・ウォーズ」ファン同士をつなぐ“SWAG”とは-今日もまたエンタメの話でも。(第5話) -
2025年04月30日
米中摩擦に対し、持久戦に備える中国-トランプ関税の打撃に耐えるため、多方面にわたり対策を強化 -
2025年04月30日
米国個人年金販売額は2024年も過去最高を更新-トランプ関税政策で今後の動向は不透明に-
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【求められる税と社会保障制度の一体的な改革】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
求められる税と社会保障制度の一体的な改革のレポート Topへ