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1998年に改訂された国際会計基準(IAS)19号の表題は、従前の「退職給付コスト」から、「従業員給付」に変わった。それまで退職給付制度だけだった対象が、従業員給付全般に拡大したのである。それは、給与・賞与や退職金・年金の他、健康保険や社宅などフリンジ・ベネフィットも含んだ「あらゆる形態の勤務の対価」を意味する。
近年、多くの企業で、年金だけでなく「従業員給付」全体が見直されているのは、「人件費総額(トータル・コンペンセイション)の削減」が目的の一つである。たしかに、従業員給付は会計上、費用・負債として認識されるからである。
しかし、従業員給付には、従業員の生産性向上と、企業価値増加に貢献する「人的資本」投資の側面もある。それを抑制するよりも、むしろ、従業員の多様な給付ニーズに合わせて資金配分できるように、「従業員給付」全体を再構築すべきだろう。退職給付制度の見直しにあたっては、そうした報酬・給付体系全般との整合性が求められているのである。
(2000年01月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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