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平成9年度株式分布状況調査(全国証券取引所協議会)によると、年金(年金信託分のみ)の株式保有時価総額は、前年度比46%増加して、全上場株式の3.8%を占めるに至った。
株式の保有リスク顕在化を背景に、持ち合い解消を図る動きが続く中で、年金と海外投資家は、放出株式の有力な受け皿として、需給関係の悪化を吸収する役割を果たしている。
年金は、わが国企業のファンダメンタルズを信頼し、長期的な株価上昇を期待した投資を行っている。最近では、株価を意識して自社株消却を実施する企業も増えているが、一般的には株主資本利益率(ROE)は低迷した状況にある。また、企業のバランス・シートや、日本そのものに対する不信感も強くなっているように感じられる。
わが国経済の苦境は誰もが認識しており、それを隠す必要は全くない。市場が求めているのは、苦境の程度を見極めるために必要な情報である。情報開示の不十分に伴う疑心暗鬼による株価低迷は、投資家にとり、もう我慢の限界と思われる。
(1998年10月01日「ニッセイ年金ストラテジー」)
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