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<概況>
米国経済は緩やかな景気減速状況となっている。インフレ面で懸念があるため、FRBは慎重な金融緩和スタンスを続けている。
一方日本経済は、設備投資、消費を中心に順調な景気拡大が続いている。国内需要は、堅調な動きを示している。設備投資は、製造業、非製造業ともに増勢を続けている。また、住宅建設は、高い水準で推移している。
鉱工業生産は、一般機械、電気機械等により増加傾向にあり、'89年10-12月期は前期比0.7%増となるなど堅調に推移している。企業収益は更に増加を続けており、企業の業況判断も良好感が極めて高い水準にある。日銀短観('90年2月調査)によると、主要企業(全産業)では、元年度下期の経常利益は前年同期比4.6%の増益(除く電力・ガス・リースでは同9.2%の増益)の後、2年度上期には同8.0%の増益(除く電力・ガス・リースでは同8.3%の増益)が見込まれている。
雇用情勢は、1月の完全失業率が2.1%と依然低い水準を持続している。さらに、有効求人倍率は1月1.32倍と、引き締まり基調となっている。企業の人手不足感は拡がりがみられる。
一方、物価環境をみると1月の国内卸売物価は前月比横這い、輸出物価は契約通貨ベースでは下落したものの、円安から前月比0.5%上昇、輸入物価は契約通貨ベースでは原油入着価格が4ヵ月連続で上昇したことが響き同0.5%上昇したとともに、円ベースでも同1.1%上昇した。この結果、総合卸売物価は前月比0.1%の上昇となった。
消費者物価は、1月前月比0.2%の上昇となった。また、2月の東京都区部消費者物価(中旬、速報値)は前月比0.3%の上昇となった。
景気堅調に伴う製品・労働需給の引き締まりを踏まえると、物価は安定基調を持続しているものの、上昇圧力は高まってきていると言えよう。
貿易動向についてみると、通関輸出(数量ベース)は、12月前月比2.5%減の後、1月(速報)は、同3.2%増となった。地域別(ドルベース)にみると、西欧・米国向け等が増加している。
通関輸入(数量ベース)は、12月前月比1.0%減の後、1月(速報)は、同2.7%増となった。原油輸入価格(CIFベース)は、1月1バーレル当たり18.5ドルと前月比3.4%上昇した。最近数ヵ月の動きを品目別(ドルベース)にみると、製品類、鉱物性燃料等が増加している。同じく地域別にみると、EC、中近東等からの輸入が増加している。
(1990年05月01日「調査月報」)
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