2002年03月25日

英国の生命保険会社の法人税について

  西林 信幸

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1.
英国生保市場はEU最大であり、保険会社数が多いことや株式運用の割合が高い(1999年末時点で50.8%)こと、さらに、貯蓄性商品の占率が高いことなどの特徴がみられる。
2.
こうした特色を有する英国生命保険会社の法人税制は極めて複雑である。これは、事業内容を様々な項目によって区分し、それぞれの区分において異なる課税方法を採用している点に原因がある。
3.
例えば、会社組織形態(株式・相互会社)、商品区分(生命保険事業、健康保険・年金運用事業、その他長期貯蓄事業)、課税所得の持分(保険契約者・株主持分)ごとに、それぞれ課税方法が異なる。さらに、生命保険事業は、5種類の事業に区分される。(本稿では、主として、生命保険事業のうち、生保・支給開始年金事業(BLAGAB)の法人税について述べる。)
4.
まず、相互会社の場合には、所得分類上は、別表DケースVI所得として課税されるが、株式会社の場合には、別表DケースIまたはケースVI所得のいずれかで課税される。どちらが採用されるかは、租税歳入局の判断で税額が多い方となる。
5.
法人税率については、保険契約者の持分は22%の税率、株主持分(株式保険会社のみ)は30%の税率、貯蓄収入(savings income)は20%の税率という具合に、それぞれ異なる税率が適用されるため、1つの生命保険会社に対して、最大で3種類の法人税率が存在する。
6.
原則的な課税方式である別表DのケースVIで課税される場合には、投資収益から管理費用を控除した金額をベースに課税されるため、「投資収益課税(I-E基準)」と呼ばれている。この管理費用については、税法上は明確な定義がなく、裁判所の判断も分かれている。
7.
しかし、1990年4月から、新契約費については、初年度に全額計上せず、7年間にわたって分割して計上されることとなったため、課税所得計算上の費用が減少し、生命保険会社の納税額が増加する結果となっている。

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