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- 米国連邦地裁におけるGoogleの競争法敗訴判決~一般検索サービス市場と検索テキスト広告市場
2024年12月25日
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■要旨
2024年12月1日の日経朝刊によれば、米司法省はGoogleに対して、Chromeを分離する案を連邦地裁に提出したとのことである。これは同年8月の連邦地裁判決において、一般検索サービス市場および一般検索テキスト広告市場における反トラスト法違反を認める判決が出たことを受けての申立てである。本稿は米司法省の要求のベースとなった判決を解説・検討するものである。
連邦地裁判決では、一般検索サービスにおけるGoogle検索は、Appleや通信事業者、端末メーカーおよびブラウザ提供者と契約を締結し、製品にGoogle検索をデフォルトに設定することとし、その代わりに利益分配を行うこととしている。この契約により、競合する一般検索サービス事業者が排除され、Googleは独占的なシェアを獲得し、その独占力を不当に維持していると認定された。
また、一般検索テキスト広告市場においては、デフォルトに設定されたGoogle検索経由で45%、全体で9割弱のシェアを獲得し、超競争的な価格設定を行ってきたと認定された。
これらはいずれもシャーマン法2条違反(不当な私的独占)に該当するとされた。
上述の通り、米司法省はGoogleの一部分割を求めているが、Googleは控訴を行うことと、分割案に反発しており、今後の動向が注目される。
なお、報道によれば、日本の公正取引委員会が、Googleの一般検索サービスに関して排除命令を発出する予定であるとのことである。
■目次
1――はじめに
2――一般検索エンジン
1|概要
2|一般検索エンジンの仕組み
3|クエリの種類
4|検索結果ページ
5|一般検索エンジンの開発と維持にかかる費用
6|一般検索エンジンへのアクセス
7|規模の重要性
8|人工知能
9|ユーザーデータとプライバシー
3――Google検索
1|製品品質
2|ブランディング
3|社内品質研究
4――その他の検索プラットフォーム
1|特化型垂直プロバイダー
2|ソーシャルメディアプラットフォーム
5――デジタル広告業界
1|検索広告
2|一般検索エンジンに関する検索広告
3|ディスプレイ広告
4|ソーシャルメディア広告
5|マーケティングファネル
6|広告費支出のシフト
7|テキスト広告オークション
6――関連する契約
1|検索配信契約
2|ブラウザ契約
3|Android契約
7――法律の結論(総論・独占)
1|法律フレームワーク
2|一般検索サービスの関連市場
3|一般検索サービス市場における独占
4|一般検索に関連する広告市場
5|一般検索テキスト広告市場における独占
6|独占:一般検索広告市場
8――法律の結論(一般検索サービス市場における反競争的行為)
1|総論
2|契約のための競争
3|争点である契約は排他的である
9――法律の結論(一般検索サービス市場における反競争的効果)
1|独占契約は一般検索サービス市場において反競争的効果を引き起こす
2|独占契約は競争促進的な利益をもたらさない
10――法律の結論(一般検索テキスト広告市場における反競争的行為・効果)
1|独占契約は市場における大きなシェアを奪う
2|独占契約によって超競争的な価格で利益を得た
3|独占契約によって競合社の広告収入に上限が設けられた
11――検討
1|一般検索サービス市場は関連市場か
2|一般検索サービス市場での独占力
3|一般検索サービス市場での反競争的行為
4|一般検索テキスト広告市場は関連市場か
5|一般検索テキスト広告市場でGoogleは独占者か
12――おわりに
2024年12月1日の日経朝刊によれば、米司法省はGoogleに対して、Chromeを分離する案を連邦地裁に提出したとのことである。これは同年8月の連邦地裁判決において、一般検索サービス市場および一般検索テキスト広告市場における反トラスト法違反を認める判決が出たことを受けての申立てである。本稿は米司法省の要求のベースとなった判決を解説・検討するものである。
連邦地裁判決では、一般検索サービスにおけるGoogle検索は、Appleや通信事業者、端末メーカーおよびブラウザ提供者と契約を締結し、製品にGoogle検索をデフォルトに設定することとし、その代わりに利益分配を行うこととしている。この契約により、競合する一般検索サービス事業者が排除され、Googleは独占的なシェアを獲得し、その独占力を不当に維持していると認定された。
また、一般検索テキスト広告市場においては、デフォルトに設定されたGoogle検索経由で45%、全体で9割弱のシェアを獲得し、超競争的な価格設定を行ってきたと認定された。
これらはいずれもシャーマン法2条違反(不当な私的独占)に該当するとされた。
上述の通り、米司法省はGoogleの一部分割を求めているが、Googleは控訴を行うことと、分割案に反発しており、今後の動向が注目される。
なお、報道によれば、日本の公正取引委員会が、Googleの一般検索サービスに関して排除命令を発出する予定であるとのことである。
■目次
1――はじめに
2――一般検索エンジン
1|概要
2|一般検索エンジンの仕組み
3|クエリの種類
4|検索結果ページ
5|一般検索エンジンの開発と維持にかかる費用
6|一般検索エンジンへのアクセス
7|規模の重要性
8|人工知能
9|ユーザーデータとプライバシー
3――Google検索
1|製品品質
2|ブランディング
3|社内品質研究
4――その他の検索プラットフォーム
1|特化型垂直プロバイダー
2|ソーシャルメディアプラットフォーム
5――デジタル広告業界
1|検索広告
2|一般検索エンジンに関する検索広告
3|ディスプレイ広告
4|ソーシャルメディア広告
5|マーケティングファネル
6|広告費支出のシフト
7|テキスト広告オークション
6――関連する契約
1|検索配信契約
2|ブラウザ契約
3|Android契約
7――法律の結論(総論・独占)
1|法律フレームワーク
2|一般検索サービスの関連市場
3|一般検索サービス市場における独占
4|一般検索に関連する広告市場
5|一般検索テキスト広告市場における独占
6|独占:一般検索広告市場
8――法律の結論(一般検索サービス市場における反競争的行為)
1|総論
2|契約のための競争
3|争点である契約は排他的である
9――法律の結論(一般検索サービス市場における反競争的効果)
1|独占契約は一般検索サービス市場において反競争的効果を引き起こす
2|独占契約は競争促進的な利益をもたらさない
10――法律の結論(一般検索テキスト広告市場における反競争的行為・効果)
1|独占契約は市場における大きなシェアを奪う
2|独占契約によって超競争的な価格で利益を得た
3|独占契約によって競合社の広告収入に上限が設けられた
11――検討
1|一般検索サービス市場は関連市場か
2|一般検索サービス市場での独占力
3|一般検索サービス市場での反競争的行為
4|一般検索テキスト広告市場は関連市場か
5|一般検索テキスト広告市場でGoogleは独占者か
12――おわりに
(2024年12月25日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
松澤 登のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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2025/02/13 | 選挙におけるSNS偽情報対策-EUのDSAにおけるガイドライン | 松澤 登 | 基礎研レポート |
2025/01/24 | 第三者委員会とは-内部調査委員会との相違 | 松澤 登 | 研究員の眼 |
2025/01/21 | ベトナム生命保険市場(2023年版) | 松澤 登 | 保険・年金フォーカス |
2024/12/25 | 米国連邦地裁におけるGoogleの競争法敗訴判決~一般検索サービス市場と検索テキスト広告市場 | 松澤 登 | 基礎研レポート |
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【米国連邦地裁におけるGoogleの競争法敗訴判決~一般検索サービス市場と検索テキスト広告市場】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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