2021年08月12日

提案されたEUのデジタルサービス法案-Digital Services Act

保険研究部 専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

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■要旨

2020年12月に欧州委員会は、デジタル社会における違法なコンテンツが流通することを防止するための規制(Regulation)案として、デジタルサービス法案(Digital Services Act、DSA)を公表した。
 
DSAは欧州域内市場におけるデジタルな仲介サービスの提供に関して調和のとれたルールを導入するものであり、具体的には、以下を定めている。

(1) 仲介サービス提供者の違法コンテンツを流通させたことに関する責任の免除のルール
(2) 仲介サービス提供者の特定のカテゴリー(一般の仲介サービス提供者、オンラインプラットフォーム提供者、特に大きなオンラインプラットフォーム提供者)ごとに設定された誠実義務(due diligence)のルール
(3) DSAの導入と執行に関するルール、特に管轄当局の協調と連携のルール
 
DSAは、日本のプロバイダ責任制限法に近い性質を有するが、規制適用範囲が広いと同時に、さまざまな監督規定・手続き規定からなっており、今後の日本の健全なデジタル社会形成に向けた法制度整備の参考にできうるものとして注目する必要がある。

■目次

1――はじめに
2――DSAの立法目的・概要(前文及び第1章)
  1|DSAの立法目的
  2|DSAの概要
3――DSAの規制対象(第2章)
  1|仲介サービス提供者の定義
  2|仲介サービス提供者の責任の免除
  3|仲介サービス提供者の基本的な義務
4――透明で安全なオンライン環境のための誠実義務(第3章)
  1|すべての仲介サービス提供者に関する規定
  2|ホスティングサービス提供者に関する追加規定
  3|オンラインプラットフォームに関する追加規定
  4|特に大きなオンラインプラットフォームに関するシステミックリスク管理についての
   追加規定
5――導入・協調・罰則・強制(第4章)
  1|管轄当局と協調
  2|デジタルサービス欧州会議
  3|特に巨大なオンラインプラットフォームの監督
6――検討
  1|規律範囲が広いこと
  2|発信者(投稿者)への対応が手続面から定められていること
  3|仲介サービス提供者にモニタリングが行われること
7――おわりに
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保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2024年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

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