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気候指数 2024年データへの更新-日本の気候の極端さは1971年以降の最高水準を大幅に更新

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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![図表15-1. 指数推移 (5年平均) [奄美]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-15-1-655x318.jpg?v=1748325188)
奄美の合成指数は、2000年代半ばより上昇を続け、2024年秋季には1.27(前年秋季は1.16)となっている。特に、湿度指数が高い水準で推移していることが寄与している。なお、この地域区分は、気象の観測地点が名瀬と沖永良部の2つ、潮位の観測地点が奄美の1つだけであり、各指数が変動しやすい。また、海面水位指数は、観測が開始された1996年以降だけとなっている。指数推移を見る際には、こうした点に注意が必要となる。
[各月の高温指数・海面水位指数]
![図表15-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [奄美]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-15-2-655x321.jpg?v=1748325188)
高温指数は、2010-14年には8月、2015-19年には8月から10月にかけて高かった。2020-24年は2月や8月から11月にかけて高い水準が続いていた。ただし、他の地域に比べると、温暖化の進行は緩やかとなっている。近年、春先や夏季から秋季にかけて高温の日が増えているものとみられる。
海面水位指数は、4月に上昇している。概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも高い水準で推移している。近年、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。
![図表16-1. 指数推移 (5年平均) [沖縄]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-16-1-655x319.jpg?v=1748325188)
沖縄の合成指数は、長らくゼロ近辺で推移してきたが、2010年代半ばより上昇し、2024年秋季には1.17(前年秋季は1.11)となっている。特に、高温指数は急騰して2024年秋季には2.19となった。また、湿度指数は、2010年代以降に大幅に上昇した。これらのことが、合成指数の上昇につながっている。
[各月の高温指数・海面水位指数]
![図表16-2. 各月の高温指数 (5年ごとの平均) [沖縄]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-16-2-655x325.jpg?v=1748325188)
高温指数は、2010-14年には9月、2015-19年には5月や6月や9月に高かった。2020-24年は7月から11月にかけて高い水準が続いていた。ただし、他の地域に比べると、温暖化の進行は緩やかであることがうかがえる。近年、夏季から秋季にかけて高温の日が増えているものとみられる。
海面水位指数は、月ごとの違いはそれほど大きくない。概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも高い水準で推移している。近年、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。
高温指数と海面水位指数の2つは、長らく合成指数を上回る水準で推移し続けている。高温指数は、上昇基調にあり、2010年代半ば以降は上昇の勢いが増している。海面水位指数も、2020年代に上昇傾向を強めている。
湿度指数は、1990年代後半以降マイナスで推移していたが、2010年代に急上昇し、プラスに転じている。2020年代は、0.5を上回る水準で落ち着いている。
低温指数は、低下を続けている。気温の指数として高温指数とあわせてみると、極端な高温の日が増加する一方、極端な低温の日は減少している、と言える。
降水指数と乾燥指数は、いずれもゼロ近辺で推移している。風指数は、概ね0~0.5の範囲内での変動となっている。この3つの指数については、近年、大きな上昇や低下の動きは見られていない。
まとめると、2024年は高温指数と海面水位指数が上昇した。特に、高温指数は急騰した。一方、降水指数と湿度指数は大きな変化はなかった。その結果、合成指数の上昇が引き起こされ、1971年以降の最高水準の大幅な更新につながったものといえる。
[各月の高温指数・海面水位指数]
高温指数は、4月と7月から10月にかけて高かった。特に、9月と10月には4を上回っており非常に高い水準となった。
海面水位指数は、3月と7月に高かった。その一方、9月と10月は低かった。
降水指数は、3月と10月に高かった。一方、9月は低かった。
湿度指数は、2月と4月と10月に高かった。
まとめると、2024年は、春季(4月)や盛夏から秋季にかけて(7月~10月)に、参照期間(1971~2000年)に比べて極端な高温の日が多かった。また、10月には、降水が多く、湿度が高い状態も多かった。その結果、10月に合成指数が高水準になったものと言える。
(参考) 気候指数間の相関係数
日本全体の月ごとの気候指数をもとに相関係数を計算した。高温と低温、降水と乾燥、降水と湿度の間には、それぞれ一定の相関関係が存在することがみてとれる。また、高温と海面水位、低温と海面水位、風と海面水位の間にもやや弱い相関関係がうかがえる。
(2025年05月27日「基礎研レポート」)
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保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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