2025年05月27日

気候指数 2024年データへの更新-日本の気候の極端さは1971年以降の最高水準を大幅に更新

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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(4) 北陸
図表7-1. 指数推移 (5年平均) [北陸]

北陸の合成指数は、長らく0.5程度で推移してきたが、2020代以降やや上昇し、2024年秋季には1.02(前年秋季は0.84)に高まっている。なかでも、高温指数は2024年秋季に急騰して2.23となっており、合成指数の上昇要因となっている。また、湿度指数は長らくマイナスで推移していたが、上昇して2020年代にはプラスとなっている。このことも、合成指数の上昇の要因となっている。なお海面水位指数は、1996年に観測が開始された佐渡と能登の影響により、同年前後の変動が大きい。

[各月の高温指数・海面水位指数]
図表7-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [北陸]

高温指数は、2010-14年には7月から10月、2015-19年には3月や5月や7月に高かった。2020-24年は3月から11月にかけて高い水準が続いており、特に3月や8月や9月に非常に高かったことがうかがえる。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。

海面水位指数は、月ごとの違いはそれほど大きくない。概して、2020-24年は2015-19年よりも高い水準で推移している。直近では、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。
(5) 東海
図表8-1. 指数推移 (5年平均) [東海]

東海の合成指数は、2000年代までゼロ近辺で推移してきたが、その後上昇して、2024年秋季には1.49(前年秋季は1.32)となっている。その背景として、海面水位指数と高温指数の上昇が挙げられる。海面水位は、石廊崎、清水港、御前崎といった駿河湾沿いの観測地点で継続的な上昇が見られる。高温指数は、2024年秋季に2.53に急騰しており、なお上昇が続いている。人口の集中する中京圏で、気候変動の高まりが鮮明になりつつある。

[各月の高温指数・海面水位指数]
図表8-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [東海]

高温指数は、2010-14年には3月や6月から10月、2015-19年には5月や8月に高かった。2020-24年は3月から11月にかけて高い水準が続いており、特に3月や8月や9月に非常に高かったことがうかがえる。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。

海面水位指数は、月ごとの違いはそれほど大きくない。概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも高い水準で推移している。近年、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。
(6) 近畿
図表9-1. 指数推移 (5年平均) [近畿]

近畿の合成指数は、上昇基調にあり、2024年秋季には1.44(前年秋季は1.30)となっている。特に、海面水位指数の上昇が大きい。舞鶴、大阪、神戸、洲本、串本、浦神といった日本海側、大阪湾沿岸、太平洋側の各観測地点で上昇している。また、高温指数は、2024年秋季には急騰して2.27となっている。人口の集中する近畿圏で、気候変動の高まりが顕著となりつつある。

[各月の高温指数・海面水位指数]
図表9-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [近畿]

高温指数は、2010-14年には3月や6月から10月、2015-19年には5月や8月に高かった。2020-24年は3月や6月から11月にかけて高い水準が続いており、特に3月や8月や9月に非常に高かったことがうかがえる。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。

海面水位指数は、月ごとの違いはそれほど大きくない。概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも高い水準で推移している。近年、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。
(7) 中国
図表10-1. 指数推移 (5年平均) [中国]

中国の合成指数は、2010年代以降上昇を続けており、2024年秋季には1.63(前年秋季は1.45)となっている。特に、海面水位指数が2010年代以降に大幅に上昇して4に迫る水準となっている。日本海側の境、浜田、西郷と、瀬戸内海沿岸の宇野の観測地点の、いずれでも上昇している。また、高温指数も2024年秋季に急騰して2.32となっている。これらが、合成指数の上昇につながっている。

[各月の高温指数・海面水位指数]
図表10-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [中国]

高温指数は、2010-14年には3月や8月から9月、2015-19年には3月から5月や7月から8月に高かった。2020-24年は3月や6月から11月にかけて高い水準が続いており、特に3月や8月や9月に非常に高かったことがうかがえる。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。

海面水位指数は、2020-24年は3月や5月や6月に高かった。概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも高い水準で推移している。近年、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
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(2025年05月27日「基礎研レポート」)

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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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