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気候指数 2024年データへの更新-日本の気候の極端さは1971年以降の最高水準を大幅に更新

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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4――気候指数の計算結果
各地域区分と日本全体で、気候の極端さがどれくらい進んでいるか、概観していくこととしたい。
1|合成指数は、すべての地域区分で前年に比べて上昇
まず、12の気候区分ごとに、計算結果のグラフを見ていこう。九州南部と奄美については、両者を一体化した「九州南部・奄美」とともに、参考として、それぞれの地域区分のグラフも見ていく。各気候区分の計算結果は、ページごとに見ていく。
ページの上段のグラフでは、気候指数の長期間の推移を図示している。季節ごとの直近の5年平均の推移を概観する。15
一方、下段のグラフでは、合成指数の変動に大きな影響を与えている高温指数と海面水位指数について、各月ごとに、2010-14年、2015-19年、2020-24年の5年ごとの平均の動向を示している。高温指数と海面水位指数の月ごとの変化を、5年ごとの推移として捉えることにより、合成指数の変動要因を探ることとしたい。
15 なお、一部の観測地点では、前回のレポート内容からデータの調整や計算方法の見直しを行っている。
![図表4-1. 指数推移 (5年平均) [北海道]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-4-1-655x315.jpg?v=1748322278)
北海道の合成指数は、上昇傾向にあり、2024年秋季には1.03(前年秋季は0.92)と1を超えている。2000年代に比べて、2010年代は、参照期間からの乖離が大きくなっている。特に、高温指数は近年、上昇の勢いが強く、2024年秋季には2.25に急騰した。また、湿度指数も近年ハイペースで上昇している。この2つの上昇が、合成指数の騰勢につながっている。
[各月の高温指数・海面水位指数]
![図表4-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [北海道]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-4-2-655x322.jpg?v=1748322278)
高温指数は、2010-14年には9月、2015-19年には3月や5月に高かった。2020-24年は3月から11月にかけて高い水準が続いており、特に3月や7月や9月に高かったことがうかがえる。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。
海面水位指数は、2010-14年や2015-19年では月ごとの違いはそれほど大きくなかった。2020-24年は5月から8月にかけて高い水準で推移している。近年、海面水位は月ごとに上昇や低下の動きが異なっているものとみられる。
![図表5-1. 指数推移 (5年平均) [東北]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-5-1-655x318.jpg?v=1748323784)
東北の合成指数は、2010年代以降0.5前後で推移してきたが、2024年秋季には0.74(前年秋季は0.60)に上昇した。特に、高温指数は2024年秋季に2.36に急騰した。湿度指数は2010年代以降上昇のペースが高まっている。なお海面水位指数は東日本大震災に伴う観測中断期間前後の格差が大きい地点のデータを除いた。震災による地盤沈下や、その後のゆっくりとした隆起の影響が見られる。16
16 具体的には、大船渡、鮎川、小名浜のデータを除いた。宮古にも観測中断期間があったが、その前後での格差が大きくはなかったため、海面水位指数の元データに採用した。なお、気象庁の公表資料によると、「地震により大きく地盤が沈下し、潮位観測値が大きく変化した。しかしながら、その後地盤がゆっくり隆起しているため、潮位観測値が低くなっています。」とのこと。(「震災後の地盤変動に伴う天文潮位の見直しについて -東北地方・関東地方の太平洋沿岸の潮位偏差に段差が生じます-」(気象庁, お知らせ, 平成26年12月24日)より抜粋)
[各月の高温指数・海面水位指数]
![図表5-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [東北]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-5-2-655x292.jpg?v=1748323784)
高温指数は、2010-14年には9月、2015-19年には3月や5月や7月に高かった。2020-24年は3月から11月にかけて高く、特に3月や9月に非常に高かった。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。
海面水位指数は、概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも低い水準で推移している。
![図表6-1. 指数推移 (5年平均) [関東甲信]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-6-1-655x315.jpg?v=1748323784)
関東甲信の合成指数は、上昇傾向にあり、2024年秋季には1.23(前年秋季は1.09)となっている。特に、高温指数が上昇しており2024年秋季には2.44に急騰している。海面水位指数も1.5を超えて高まっている17。湿度指数は2010年代以降に大きく上昇した。
17 海面水位指数の作成のための潮位データについて、2000年の三宅島噴火に伴うものとみられる観測中断期間前後での格差が大きい三宅島(坪田)は除いている。気象庁のホームページ上では、観測中断期間の原因等は「不明」とされている。
[各月の高温指数・海面水位指数]
![図表6-2. 各月の高温指数・海面水位指数 (5年ごとの平均) [関東甲信]](https://www.nli-research.co.jp/files/user/report/nlri_report/2025/report250527-2-6-2-655x324.jpg?v=1748323785)
高温指数は、2010-14年には7月から9月、2015-19年には5月や7月に高かった。2020-24年は3月から11月にかけて高い水準が続いており、特に3月や8月や9月に非常に高かったことがうかがえる。近年、春先から晩秋まで高温の日が増えているものとみられる。
海面水位指数は、月ごとの違いはそれほど大きくない。概して、2020-24年は2015-19年や2010-14年よりも高い水準で推移している。近年、通年で海面水位は上昇傾向にあるものとみられる。
(2025年05月27日「基礎研レポート」)
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保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
篠原 拓也のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/05/27 | 気候指数 2024年データへの更新-日本の気候の極端さは1971年以降の最高水準を大幅に更新 | 篠原 拓也 | 基礎研レポート |
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