- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- 「横浜オフィス市場」の現況と見通し(2024年)
2024年03月27日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
3.横浜オフィス市場の見通し
以下では、横浜のオフィスワーカー数を見通すうえで重要となる「雇用環境」と「企業の経営環境」について確認したい。
横浜市経済局・横浜商工会議所「横浜市景況・経営動向調査」によれば、「雇用人員BSI2」(全産業) は、2020 年第2 四半期に+5.7 へ大きく上昇した後、低下(回復)が続いている。2023 年第4四半期は▲35.9 となり、コロナ禍前の水準(▲31.9)を下回り人手不足感が強まっている(図表-12)。業種別にみても、「製造業」・「非製造業」ともに回復しており、2023 年第4四半期は「製造業」が▲24.1、「非製造業」が▲43.8となった。オフィスワーカーの割合の高い「非製造業」は、人手不足感がより強い状況にあると言える。
横浜市経済局・横浜商工会議所「横浜市景況・経営動向調査」によれば、「雇用人員BSI2」(全産業) は、2020 年第2 四半期に+5.7 へ大きく上昇した後、低下(回復)が続いている。2023 年第4四半期は▲35.9 となり、コロナ禍前の水準(▲31.9)を下回り人手不足感が強まっている(図表-12)。業種別にみても、「製造業」・「非製造業」ともに回復しており、2023 年第4四半期は「製造業」が▲24.1、「非製造業」が▲43.8となった。オフィスワーカーの割合の高い「非製造業」は、人手不足感がより強い状況にあると言える。
神奈川県の就業者数は増加しているものの、今後、生産年齢人口は減少に向かう見通しである。また、オフィスワーカーの割合の高い非製造業では人手不足感が強い一方、企業活動はコロナ禍からの回復は鈍く、物価高騰のダメージも受けている。これらのことを勘案すると、横浜ビジネスエリアの「オフィスワーカー数」の増加はやや力強さに欠ける懸念がある。
2 雇用人員が「過剰気味」と回答した割合から「不足気味」と回答した割合を引いた値。プラス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
2 雇用人員が「過剰気味」と回答した割合から「不足気味」と回答した割合を引いた値。プラス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
(2)在宅勤務の進展に伴うオフィスの見直し
パーソル総合研究所「テレワークに関する調査/就業時マスク調査」によれば、神奈川県のテレワーク実施率は、3割から4割の範囲で推移しており、2023年7月調査では33%となった(図表-15)。テレワーク実施率は全国平均を上回っており、横浜市でも「在宅勤務」を取り入れた新たな働き方が一定程度定着しているようだ。
また、帝国データバンクの調査よれば、「新型コロナ感染拡大に伴う働き方改革の取り組みの変化」について、「オフィスの移転」との回答が実施予定を含めて約1割を占めた3。横浜市では「在宅勤務」が定着するなか、オフィスの見直しに着手する企業が徐々に増えていることがうかがえる。
パーソル総合研究所「テレワークに関する調査/就業時マスク調査」によれば、神奈川県のテレワーク実施率は、3割から4割の範囲で推移しており、2023年7月調査では33%となった(図表-15)。テレワーク実施率は全国平均を上回っており、横浜市でも「在宅勤務」を取り入れた新たな働き方が一定程度定着しているようだ。
また、帝国データバンクの調査よれば、「新型コロナ感染拡大に伴う働き方改革の取り組みの変化」について、「オフィスの移転」との回答が実施予定を含めて約1割を占めた3。横浜市では「在宅勤務」が定着するなか、オフィスの見直しに着手する企業が徐々に増えていることがうかがえる。
在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドな働き方が普及するなか、「コワーキングスペース」等の「サードプレイスオフィス」市場が全国的に拡大している。横浜市経済局の調査によれば、横浜市内に拠点をもつコワーキング運営事業者に「横浜市内に新たな拠点を開設したいか」を尋ねたところ、「開設したいと考え、具体的に検討している(42%)」との回答が最も多く、次いで、「具体的には検討していないが、横浜市内で開設したいと考えている(31%)」との回答が多かった(図表-16)。また、「新たな拠点を検討しているエリア」に関して、「横浜駅周辺(39%)」との回答が最も多く、次いで、「みなとみらい21(31%)」、「関内、山下町周辺(28%)」の順に多かった(図表-17)。横浜でも、「横浜駅周辺」や「みなとみらい21地区」を中心に「サードプレイスオフィス」の出店意欲は強いようだ。
今後も、フレキシブルな働き方に即したオフィスの拠点配置や利用形態を検討する企業の増加が予想され、引き続きオフィス需要への影響を注視したい。
今後も、フレキシブルな働き方に即したオフィスの拠点配置や利用形態を検討する企業の増加が予想され、引き続きオフィス需要への影響を注視したい。
3 帝国データバンク「働き方改革の取り組みに関する神奈川県内企業の意識調査」(2021 年9 月実施)。
「新型コロナ拡大で取り組み始めた」との回答が3.1%。「今後取り組む予定」との回答が6.3%
(2024年03月27日「不動産投資レポート」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1861
経歴
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/17 | 「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2024年】~都心は価格上昇が加速。一方、下期にかけて南西部は伸び率鈍化、北部と東部は下落に転じる。 | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/04/08 | 良好な景況感が継続。先行きも楽観的な見方が強まる。-第21回不動産市況アンケート結果 | 吉田 資 | 基礎研マンスリー |
2025/03/31 | 「横浜オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/03/25 | 「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
新着記事
-
2025年04月25日
世界人口の動向と生命保険マーケット-生保マーケットにおける「中国の米国超え」は実現するのか- -
2025年04月25日
年金や貯蓄性保険の可能性を引き出す方策の推進(欧州)-貯蓄投資同盟の構想とEIOPA会長の講演録などから -
2025年04月25日
「ほめ曜日」×ご褒美消費-消費の交差点(9) -
2025年04月25日
欧州大手保険グループの2024年の生命保険新契約業績-商品タイプ別・地域別の販売動向・収益性の状況- -
2025年04月25日
若手人材の心を動かす、企業の「社会貢献活動」とは(2)-「行動科学」で考える、パーパスと従業員の自発行動のつなぎ方
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【「横浜オフィス市場」の現況と見通し(2024年)】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「横浜オフィス市場」の現況と見通し(2024年)のレポート Topへ