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- 貿易統計23年12月-10-12月期の外需寄与度は前期比0.1%程度のプラスに
2024年01月24日
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1.輸出が2ヵ月ぶりに増加
財務省が1月24日に公表した貿易統計によると、23年12月の貿易収支は621億円の黒字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲1,190億円、当社予想は746億円)を上回る結果となった。輸出が前年比9.8%(11月:同▲0.2%)の高い伸びとなる一方、輸入が前年比▲6.8%(11月:同▲11.9%)と9ヵ月連続で減少したため、貿易収支は前年に比べ1,560億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比3.1%(11月:同▲5.6%)、輸出価格が前年比6.5%(11月:同5.8%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲3.0%(11月:同▲3.4%)、輸入価格が前年比▲3.9%(11月:同▲8.8%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比3.1%(11月:同▲5.6%)、輸出価格が前年比6.5%(11月:同5.8%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲3.0%(11月:同▲3.4%)、輸入価格が前年比▲3.9%(11月:同▲8.8%)であった。
貿易収支は原数値では黒字となったが、季節調整値では▲4,127億円と、11月の▲3,506億円から赤字幅が拡大し、21年6月から31ヵ月連続の赤字となった。輸出が前月比5.8%の増加となったが、輸入の増加幅(同6.2%)がそれを上回った。
貿易赤字(季節調整値)は22年夏場のピーク時から大きく縮小しているものの、実勢として赤字を脱したわけではない。
貿易赤字(季節調整値)は22年夏場のピーク時から大きく縮小しているものの、実勢として赤字を脱したわけではない。
2.輸出入ともに弱い動き
23年12月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比16.9%(11月:同3.4%)、EU向けが前年比1.6%(11月:同▲11.8%)、アジア向けが前年比▲2.9%(11月:同▲7.6%)、うち中国向けが前年比2.8%(11月:同▲9.9%)となった。

米国向けは堅調を維持しているが、景気減速が明確となっているEU向け、アジア向けは低迷している。中国向けは2四半期ぶりに上昇したが、均してみれば底這い圏の動きにとどまっている。
一方、23年10-12月期の輸入数量指数は前期比▲0.5%(7-9月期:同▲0.4%)となった。輸出は海外経済の減速、輸入は国内需要の停滞を背景に、このところ弱い動きとなっている。累積的な金融引き締めの影響で景気が減速している欧米向けを中心に、輸出は当面弱い動きが続くことが予想される。
3.10-12月期の外需寄与度は前期比0.1%程度のプラスに
12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、23年10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比1%台半ばの増加、輸入が前期比1%台前半の増加となった。財輸出は低迷したが、知的財産権等使用料の大幅増加を主因としてサービス輸出が高い伸びとなったことが財貨・サービスの輸出を押し上げた。この結果、10-12月期の外需寄与度は前期比0.1%(7-9月期:同▲0.1%)と2四半期ぶりのプラスとなることが予想される。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで23年10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を若干押し上げる中で、民間消費、設備投資などの国内需要が小幅ながら増加することから、前期比年率1%程度のプラス成長を予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで23年10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を若干押し上げる中で、民間消費、設備投資などの国内需要が小幅ながら増加することから、前期比年率1%程度のプラス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年01月24日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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