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決済手段の選択が「粋(いき)な計らい」になる日-2021年の日本のキャッシュレス化の進展状況の振り返りと今後の注目点について

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹
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1――キャッシュレス決済比率は33%に
このキャッシュレス決済比率の指数関数的な伸び2をこれまで牽引しているのがクレジットカードである。日本クレジット協会によると、2021年のクレジットカードの決済額は81兆円で前年よりも8.8%、実額で6.6兆円増えている。2021年の民間最終消費支出に対するクレジットカードの決済額の比率は27.8%となっており、キャッシュレス決済額全体の85%を占めている。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査(クレジットカード業)の月次データを確認すると、クレジットカード決済額が中長期で指数関数的に増加してきたことが分かる(図表2)。新型コロナウイルス感染症の拡大により、緊急事態宣言が発出されるなど外出自粛が呼びかけられた際に変動費を中心に各種支出が落ち込み、一時的に決済額は伸び悩んだが、2021年以降は指数関数的な伸び率に回復している。
QRコード決済は、2021年の決済額は5.3兆円で、昨年より1.1兆円増加している。民間最終消費支出に対する決済額の割合は約1.8%に達した。QRコード決済がキャッシュレス決済比率のKPIに含まれたのは2018年からだが、約4年間で電子マネーの決済額と同等の水準にまで規模が拡大したことになる。QRコード決済の決済額は決済事業者による大規模なポイント還元キャンペーンが実施されると一時的に決済単価が上がるものの、そうでない場合は店舗利用件数とおおよそ連動しており決済単価が伸びてないのが課題と言える(図表4、図表5)。今後、消費者向けの大規模な還元キャンペーンに頼らず、また、加盟店向けの安価な手数料設定が終了(後述)しても、QRコードの決済額が拡大していくのかどうかが注目される。
1 クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコード*(ただし、クレジットカード・デビットカードからの紐づけ利用・チャージ分を除く)による決済額を民間最終消費支出で除したものである。
*「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
2 「指数関数的な伸び」は、増加幅が徐々に拡大する特徴を持つ。
(2022年08月22日「基礎研レポート」)
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03-3512-1848
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
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