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- ユーロ圏失業率(2020年4月)-イタリアで失業率が大幅低下?
2020年06月04日
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1.結果の概要:失業率は微増にとどまる
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2.結果の詳細:イタリアでは失業率が大幅低下?
                                                                        今回の発表で前月以前の統計が改定され、3月の失業率は7.1%(改定前は7.4%)、2月は7.2%(改定前は7.3%)となった。2月から3月にかけての失業者数の変化は8.3万人の減少だった(改定前は19.7万人増)。改定後は失業率の水準が若干下がっただけでなく、3月下旬以降の新型コロナウイルスの影響下でも、雇用統計上は悪化が見られなかったことになる。
今回発表された4月の失業率は7.3%で、改定後の3月と比較して若干増加したものの、市場予想を大きく下回る結果となっており、新型コロナウイルスの雇用への影響は予想に比べ、限定的にとどまったと言える2。
若年者(25才以下)の失業率でみると(図表2)、4月:15.8%、3月:15.1%(改定前は15.8%)、2月:15.2%(改定前は15.4%)となった。全体の失業率と比較すると水準が高い点は同じである。また、3月から4月にかけて失業者は8.9万人増加しており、4月の失業者の40%以上は若年層であった。
            今回発表された4月の失業率は7.3%で、改定後の3月と比較して若干増加したものの、市場予想を大きく下回る結果となっており、新型コロナウイルスの雇用への影響は予想に比べ、限定的にとどまったと言える2。
若年者(25才以下)の失業率でみると(図表2)、4月:15.8%、3月:15.1%(改定前は15.8%)、2月:15.2%(改定前は15.4%)となった。全体の失業率と比較すると水準が高い点は同じである。また、3月から4月にかけて失業者は8.9万人増加しており、4月の失業者の40%以上は若年層であった。
                                            国別の失業率を見ると(図表3・4)、多くの国で4月は上昇しているが、イタリアで大幅に低下している点が目立つ。全体の失業率は2月9.1%→3月8.0%→4月6.3%と低下している。4月の6.3%は市場予想(9.3%)を大きく下回り、世界金融危機前の水準まで下がったことになる。若年層の失業率も多くの国で上昇しているが、イタリアは2月27.8%→3月26.5%→4月20.3%と低下している。このイタリアでの失業者数減少は、ユーロ圏全体での失業者数の上昇を抑制している要因にもなっている(前掲図表1・2)。
                                    
             こうしたイタリアの失業者数の減少は職探しをあきらめ、労働市場から脱退する人が増加したことが主因と見られる。実際、イタリア国家統計局(ISTAT)が発表した非労働力人口(15-64才)は3月以降に急速に増えており(図表5)、4月までの2か月間で116.5万人が労働市場から脱退し、同年齢層の労働参加率が激減している(2月65.0%→3月63.9%→4月61.9%)。こうした労働市場からの脱退者が多いことが、見かけ上の失業者を減少させ、失業率の数値を低下させている。実際は、働いていない人(失業者+非労働力人口)が増えているという意味で、労働市場は失業率の数値から見える以上に悪いといえる。
                                                        こうしたイタリアの失業者数の減少は職探しをあきらめ、労働市場から脱退する人が増加したことが主因と見られる。実際、イタリア国家統計局(ISTAT)が発表した非労働力人口(15-64才)は3月以降に急速に増えており(図表5)、4月までの2か月間で116.5万人が労働市場から脱退し、同年齢層の労働参加率が激減している(2月65.0%→3月63.9%→4月61.9%)。こうした労働市場からの脱退者が多いことが、見かけ上の失業者を減少させ、失業率の数値を低下させている。実際は、働いていない人(失業者+非労働力人口)が増えているという意味で、労働市場は失業率の数値から見える以上に悪いといえる。他の国でもイタリアほどではないにしろ、労働環境が急激に悪化したことで、そもそも求職をあきらめてしまった人が、失業率の上昇を抑制させている面があると見られることには注意が必要である。
2 後述する労働市場からの脱退等、失業率だけでは見えない部分もある点には注意。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年06月04日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
                            - 【職歴】
 2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
 2009年 日本経済研究センターへ派遣
 2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
 2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
 2014年 同、米国経済担当
 2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
 2020年 ニッセイ基礎研究所
 2023年より現職
 ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
 アドバイザー(2024年4月~)
 【加入団体等】
 ・日本証券アナリスト協会 検定会員
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