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2025年06月19日

マスク着用のメンタルヘルスへの影響(2)-コロナ禍の研究を経て分かっていること/いないこと

保険研究部 准主任研究員 岩﨑 敬子

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■要旨

マスク着用が人々に与える影響に関する研究分野は、コロナ禍でのその研究の需要の高まりを受けて、近年急速に進展した。マスク着用の影響は、感染拡大予防効果のような医学的側面から、コミュニケーションの質など社会心理的側面まで多岐にわたる。コロナ禍を経た研究蓄積をもとに、そのメリットやデメリットを多面的に捉えることは、マスクとのより良い付き合い方を考える機会となるかもしれない。そこで本稿を含めて、全5回の基礎研レポート/基礎研レターでは、マスク着用の人々への影響について、「健康」「メンタルヘルス1 ・2)」「コミュニケーション1・2」に分けて、コロナ禍を経た研究蓄積からわかっていること/いないことを紹介していく。
 
本稿では、その第三弾として、ポストコロナにおけるマスク着用のメンタルヘルスへの影響を取り上げる。要約を先取りしてお伝えすると、マスク着用は、他人から容姿や行動を低く評価されることへの不安や恐怖が強い人(社交不安が強い人)にとって、不安や恐怖を回避するための行動として知られる。一方、こうした不安や恐怖の回避を目的とした行動は、長期的にメンタルヘルスに負の影響を与える懸念が挙がっており、そのような理由による継続的なマスク着用には注意が必要かもしれない。

■目次

1――ポストコロナでマスク着用がメンタルヘルスに与える正の影響の可能性
2――ポストコロナでマスク着用がメンタルヘルスに与える負の影響の可能性
3――ポストコロナでメンタルヘルスの状態がマスク着用動機になる可能性
4――ポストコロナのマスク着用とメンタルヘルスの関係のまとめ

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年06月19日「基礎研レター」)

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保険研究部   准主任研究員

岩﨑 敬子 (いわさき けいこ)

研究・専門分野
応用ミクロ計量経済学・行動経済学 

経歴
  • 【職歴】
     2010年 株式会社 三井住友銀行
     2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
     2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
     2021年7月より現職

    【加入団体等】
     日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
     博士(国際貢献、東京大学)
     2022年 東北学院大学非常勤講師
     2020年 茨城大学非常勤講師

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レポート紹介

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