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気候変動:死亡率シナリオの作成-気候変動の経路に応じて日本全体の将来死亡率を予測してみると…
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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次に、死因、年齢、季節、地域ごとに、経路ごとの違いがどのようにあらわれるかを確認していく。まず最初に、死因別に、死亡率のSSP1-2.6との差を見ていく。
(1) 新生物
新生物の死亡率は、男性はSSP1-1.9とSSP2-4.5は、SSP1-2.6の近辺で推移している。一方、SSP5-8.5は2060年代以降、SSP1-2.6を下回り、徐々にその差が拡大している。女性はいずれの経路もSSP1-2.6近辺で推移している。46

46 SSP1-2.6とSSP5-8.5の主な差異は、高温指数の項による。男性90-94歳は女性90-94歳よりも同項の回帰係数の絶対値が桁違いに大きい。このことが、男女間の違いにつながっているものとみられる。
(2) 循環器系疾患
循環器系疾患の死亡率は、男性はいずれの経路もSSP1-2.6近辺で推移している。女性は、SSP1-1.9とSSP2-4.5は、SSP1-2.6の近辺で推移している。一方、SSP5-8.5は2070年代以降、SSP1-2.6をやや上回り、徐々にその差が拡大している。

(3) 呼吸器系疾患
呼吸器系疾患の死亡率は、SSP1-1.9とSSP2-4.5は、SSP1-2.6の近辺で推移している。一方、SSP5-8.5は、男性は2060年代以降、女性は2070年代以降、SSP1-2.6をやや上回り、徐々にその差が拡大している。

異常無(老衰等)の死亡率は、SSP1-1.9とSSP2-4.5は、SSP1-2.6の近辺で推移している。一方、SSP5-8.5は2060年代以降、SSP1-2.6をやや上回り、その差が拡大している。特に女性は、その差が顕著に拡大している。この異常無(老衰等)の差が、死因合計におけるSSP1-2.6とSSP5-8.5の差の主な要因となっている。

(5) 外因(熱中症含)
外因(熱中症含)の死亡率は、経路による違いはほとんど見られない。男性では、SSP5-8.5は2060年代以降、SSP1-2.6を若干上回っている。

(6) その他の死因
その他の死因の死亡率は、経路による違いはあまり見られない。

(2024年12月24日「基礎研レポート」)
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保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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