- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 宿泊旅行統計調査2024年8月~日本人延べ宿泊者数は物価高の向かい風を受けて3ヵ月ぶりに2019年比マイナス~
宿泊旅行統計調査2024年8月~日本人延べ宿泊者数は物価高の向かい風を受けて3ヵ月ぶりに2019年比マイナス~
経済研究部 安田 拓斗
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.日本人延べ宿泊者数は弱い動き
2024年8月の日本人延べ宿泊者数は5,330万人泊(7月:4,196万人泊)となり、2019年同月比は▲0.8%(7月:同2.4%)と3ヵ月ぶりのマイナス、前年比は▲0.8%(7月:▲3.3%)と4ヵ月連続のマイナスとなった。日本人の国内旅行は物価高の悪影響を受け弱い動きが続いている。2024年8月の外国人延べ宿泊者数は1,281万人泊(7月:1,470万人泊)、2019年同月比は35.1%(7月:同36.1%)となった。外国人延べ宿泊者数は好調を続けており、延べ宿泊者数全体を押し上げている。
2024年8月の客室稼働率は全体で63.9%(7月:同61.2%)、2019年同月差▲5.5%(7月:同▲2.1%)と、コロナ禍前の水準を下回っているが、前年同月差は1.3%(7月:同3.3%)とプラスで推移している。宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は43.6%、2019年同月差▲6.8%(7月:同▲2.1%)、リゾートホテルは63.7%、2019年同月差▲7.2%(7月:同▲2.7%)、ビジネスホテルは74.8%、2019年同月差▲4.8%(7月:同▲2.2%)、シティホテルは72.3%、2019年同月差▲10.7%(7月:同▲8.2%)、簡易宿所は36.3%、2019年同月差▲8.7%(7月:同▲4.9%)であった。2019年同月差は全てのタイプの宿泊施設でマイナス圏での推移が続いている。一方、前年同月差をみると、旅館が▲0.9%とマイナスになっているが、リゾートホテルは同3.5%、ビジネスホテルは同1.4%、シティホテルは同1.0%、簡易宿所は同3.0%といずれもプラスで推移している。
2.延べ宿泊者数は大都市を中心に回復
1 三大都市圏とは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の8都府県をいう
3.引き続き旺盛なインバウンド需要が日本の旅行需要を牽引
外国人宿泊者数のうち、国別が分かる従業者数10人以上の施設でみると、2024年8月の中国人延べ宿泊者数は2019年比▲9.9%(7月:同▲7.0%)と、2ヵ月連続でマイナス幅が拡大しているが、3ヵ月連続で下落率は一桁にとどまっている。8月の訪日中国人数は2019年比▲25.5%だが、宿泊日数が増加したことで、延べ宿泊者数は訪日客数より早い速度で回復している。中国国内の消費は弱い動きになっていることから、中国人延べ宿泊者数が停滞するリスクはあるが、コロナ禍前に比べて為替レートが円安の水準にあることが追い風となって、外国人延べ宿泊者数は増加を続けることが予想される。日本人の旅行需要は横ばい圏内での推移が見込まれるため、今後の日本全体の旅行需要を左右するのはインバウンド需要となるだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年10月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
経済研究部
安田 拓斗
安田 拓斗のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/03/13 | 雇用を支える外国人労働者~受入れ拡大に備え、さらなる環境整備が求められる~ | 安田 拓斗 | 基礎研レポート |
| 2025/03/12 | 企業物価指数2025年2月~国内企業物価は2ヵ月連続で前年比4%台~ | 安田 拓斗 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/03/03 | 宿泊旅行統計調査2025年1月~早期の春節の影響などから、中国人延べ宿泊者数が急速に回復~ | 安田 拓斗 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/02/13 | 企業物価指数2025年1月~国内企業物価の前年比上昇率は2023年6月以来の4%超~ | 安田 拓斗 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【宿泊旅行統計調査2024年8月~日本人延べ宿泊者数は物価高の向かい風を受けて3ヵ月ぶりに2019年比マイナス~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
宿泊旅行統計調査2024年8月~日本人延べ宿泊者数は物価高の向かい風を受けて3ヵ月ぶりに2019年比マイナス~のレポート Topへ












