コラム
2024年07月08日

投資部門別売買動向(24年6月)~海外投資家は売り越しも、最終週は先物中心に買い越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

6月の日経平均株価は続伸した。上旬は3月期本決算企業の決算発表終了による材料難や、日米欧の金融政策決定会合の結果待ちで様子見の姿勢が強く、5月末水準の3万8,500円台後半で推移した。その後、10日には1ドル157円台まで円安が進行したことを好感し、11日に3万9,134円まで上昇した。しかし、欧州の政局不安を受け、日経平均株価は翌12日には3万9,000円を割り、17日には3万8,102円まで下落した。下旬は、米国のハイテク株の上昇や、1ドル160円台まで円安が進行したことが好感され、日経平均株価は26日に3万9,667円まで上昇し、月末は3万9,583円で終えた。このように日経平均株価が推移する中、事業法人が買い越す一方で、海外投資家、信託銀行、個人が売り越した。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2024年6月(6月3日~28日)の投資部門別の売買動向をみると、事業法人は現物と先物の合計で6,932億円の買い越しと、最大の買い越し部門であった。2024年1月から6月までの自社株買い設定金額(TOPIX構成銘柄)は既に9.3兆円に達している。特に5月の設定金額は5.8兆円と過去最高を記録しており、自社株買いが中心である事業法人は、2カ月連続で最大の買い越し部門となった。
図表2 事業法人は37カ月連続買い越し
一方で、信託銀行は現物と先物の合計で6月に3,265億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった。7か月連続の売り越しであり、6月は週ごとに見ても、小幅ではあるが全週で売りが優勢だった。
図表3 信託銀行は7カ月連続の売り越し
また、6月は海外投資家も現物と先物の合計で6月に3,213億円の売り越しとなった。ただし、週ごとに見ると、6月第4週(6月24~28日)は現物と先物の合計で5,960億円の買い越しであった。同期間に日経平均株価は約980円上昇しており、買いの主体が注目されていたが、海外投資家が先物を中心に買っていたようである。日経平均株価は7月に入っても上昇し、7月5日時点で4万912円と、直近2週間で約2,100円上昇した。7月第1週も海外投資家の買いが継続していると推測される。
図表4 海外投資家は売り越しも、最終週は先物中心に買い越し
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年07月08日「研究員の眼」)

このレポートの関連カテゴリ

Xでシェアする Facebookでシェアする

金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

週間アクセスランキング

ピックアップ

レポート紹介

【投資部門別売買動向(24年6月)~海外投資家は売り越しも、最終週は先物中心に買い越し~】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

投資部門別売買動向(24年6月)~海外投資家は売り越しも、最終週は先物中心に買い越し~のレポート Topへ