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- 宿泊旅行統計調査2023年5月~水際対策撤廃で外国人延べ宿泊者数が順調に回復~
2023年07月03日
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1. 外国人延べ宿泊者数は速い回復ペースを維持
観光庁が6月30日に発表した宿泊旅行統計調査によると、2023年5月の延べ宿泊者数は5,012万人泊(4月:4,554万人泊)となった。前年同月比は36.2%(4月:同39.0%)、新型コロナウイルスの影響が出る前の2019年同月比でみると、▲2.5%(4月:同▲10.2%)とマイナス幅が縮小したものの、コロナ禍前の水準は下回った。
2023年5月の日本人延べ宿泊者数は4,115万人泊(4月:3,602万人泊)となり、2019年同月比は▲1.3%(4月:同▲8.7%)とマイナス幅は縮小したが、2ヵ月連続でコロナ禍前を下回った。
2023年5月の外国人延べ宿泊者数は897万人泊(4月:952万人泊)となり、2019年同月比は▲7.8%(4月:同▲15.6%)と3ヵ月連続でマイナス幅が縮小した。先月に引き続き速い回復ペースを維持した。外国人延べ宿泊者数は2022年10月の水際対策緩和以降、回復傾向にある。水際対策はすでに撤廃されており、外国人延べ宿泊者数は引き続き回復することが予想される。
2023年5月の日本人延べ宿泊者数は4,115万人泊(4月:3,602万人泊)となり、2019年同月比は▲1.3%(4月:同▲8.7%)とマイナス幅は縮小したが、2ヵ月連続でコロナ禍前を下回った。
2023年5月の外国人延べ宿泊者数は897万人泊(4月:952万人泊)となり、2019年同月比は▲7.8%(4月:同▲15.6%)と3ヵ月連続でマイナス幅が縮小した。先月に引き続き速い回復ペースを維持した。外国人延べ宿泊者数は2022年10月の水際対策緩和以降、回復傾向にある。水際対策はすでに撤廃されており、外国人延べ宿泊者数は引き続き回復することが予想される。
2023年5月の客室稼働率は全体で56.5%(4月:同55.5%)、2019年同月差▲6.7%(4月:同▲9.5%)と、3ヵ月ぶりにマイナス幅が縮小した。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は38.1%、2019年同月差▲3.4%(4月:同▲7.0%)、リゾートホテルは49.4%、2019年同月差▲10.2%(4月:同▲10.1%)、ビジネスホテルは68.4%、2019年同月差▲7.4%(4月:同▲10.7%)、シティホテルは67.9%、2019年同月差▲12.0%(4月:同▲15.3%)、簡易宿所は26.1%、2019年同月差▲7.4%(4月:同▲11.7%)であった。2019年同月差では、旅館、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿所でマイナス幅が縮小、リゾートホテルでマイナス幅が拡大した。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は38.1%、2019年同月差▲3.4%(4月:同▲7.0%)、リゾートホテルは49.4%、2019年同月差▲10.2%(4月:同▲10.1%)、ビジネスホテルは68.4%、2019年同月差▲7.4%(4月:同▲10.7%)、シティホテルは67.9%、2019年同月差▲12.0%(4月:同▲15.3%)、簡易宿所は26.1%、2019年同月差▲7.4%(4月:同▲11.7%)であった。2019年同月差では、旅館、ビジネスホテル、シティホテル、簡易宿所でマイナス幅が縮小、リゾートホテルでマイナス幅が拡大した。
2. 全国旅行支援の後押しは弱まるが、日本人延べ宿泊者数は大きく落ち込まない
3. 外国人延べ宿泊者数(中国を除く)はコロナ禍前を上回った
外国人延べ宿泊者数は2022年10月11日に個人旅行の解禁、短期滞在のビザ免除再開、一日あたりの入国者数の上限の撤廃など水際対策が緩和されたこと、そして2023年4月29日に水際対策が撤廃されたことで回復してきた。
しかし、まだ外国人延べ宿泊者数はコロナ禍前の水準を回復していない。その一因は中国人観光客が回復していないことである。中国人観光客はコロナ禍前、外国人観光客のおよそ3分の1を占めていたが、2023年5月の中国人延べ宿泊者数は2019年比▲75.1%(4月:同▲78.9%)と他の国・地域と比較すると回復が遅れている。
これは2022年末まで中国が厳格なゼロコロナ政策を継続し、同政策解除後中国国内での感染拡大に伴って、日本政府が中国からの入国者に規制を設けたこと、そして日本の入国制限解除後、中国側が自国民の日本への団体旅行を解禁していないことが主因である。
しかし、まだ外国人延べ宿泊者数はコロナ禍前の水準を回復していない。その一因は中国人観光客が回復していないことである。中国人観光客はコロナ禍前、外国人観光客のおよそ3分の1を占めていたが、2023年5月の中国人延べ宿泊者数は2019年比▲75.1%(4月:同▲78.9%)と他の国・地域と比較すると回復が遅れている。
これは2022年末まで中国が厳格なゼロコロナ政策を継続し、同政策解除後中国国内での感染拡大に伴って、日本政府が中国からの入国者に規制を設けたこと、そして日本の入国制限解除後、中国側が自国民の日本への団体旅行を解禁していないことが主因である。
外国人延べ宿泊者数(従業者数10人以上の施設)の2019年比は2023年5月には全体が▲17.8%(4月:同▲20.4%)、中国を除いた全体が同3.8%(4月:同▲2.8%)と、中国を除けば、コロナ禍以降初めてプラスとなった。
水際対策が撤廃されたことで、外国人宿泊者数は回復を続けることが予想される。中国が日本への団体旅行を解禁しなければ、外国人延べ宿泊者数の本格的な回復はまだ先となるものの、7月には外国人延べ宿泊者数はコロナ禍前を上回ると予想する。
水際対策が撤廃されたことで、外国人宿泊者数は回復を続けることが予想される。中国が日本への団体旅行を解禁しなければ、外国人延べ宿泊者数の本格的な回復はまだ先となるものの、7月には外国人延べ宿泊者数はコロナ禍前を上回ると予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年07月03日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2021年4月 日本生命保険相互会社入社
2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
安田 拓斗のレポート
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