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- QE速報:10-12月期の実質GDPは前期比0.2%(年率0.6%)-2四半期ぶりのプラス成長も、7-9月期の落ち込みを取り戻せず
2023年02月14日
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● 10-12月期は前期比年率0.6%と2四半期ぶりのプラス成長
本日(2/14)発表された2022年10-12月期の実質GDP(1次速報値)は、前期比0.2%(前期比年率0.6%)と2四半期ぶりのプラス成長となった(当研究所予測1月31日:前期比0.3%、年率1.0%)。
民間消費が前期比0.5%と堅調を維持する一方、設備投資(前期比▲0.5%)、住宅投資(同▲0.1%)が減少したことなどから、国内需要は5四半期ぶりに減少したが、外需が前期比・寄与度0.3%(年率1.4%)と成長率を押し上げた。
10-12月期はかろうじてプラス成長となったものの、7-9月期の落ち込み(前期比年率▲1.0%)を取り戻すことはできなかった。実質GDPは約2年にわたってプラス成長とマイナス成長を繰り返しており、日本経済は一進一退の状態から抜け出せずにいる。
名目GDPは前期比1.3%(前期比年率5.2%)と2四半期ぶりの増加となり、実質の伸びを大きく上回った。GDPデフレーターは前期比1.1%(7-9月期:同▲0.5%)、前年比1.1%(7-9月期:同▲0.4%)となった。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターが前期比0.7%の上昇(7-9月期:同0.6%)となったことに加え、原油価格の下落や円安の一服を反映し、輸入デフレーターが前期比▲0.9%の低下となり、輸出デフレーターの伸び(前期比0.3%)を下回ったことがGDPデフレーターを押し下げた。
2022年10-12月期の1次速報と同時に、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから過去の成長率が遡及改定された。2022年7-9月期の実質GDP成長率は、民間消費の下方修正などから前期比年率▲0.8%から同▲1.0%へと下方修正された。
この結果、2022年(暦年)の実質GDP成長率は1.1%(2021年は2.1%)、名目GDP成長率1.3%(2021年は1.9%)といずれも2年連続でプラスとなった。
民間消費が前期比0.5%と堅調を維持する一方、設備投資(前期比▲0.5%)、住宅投資(同▲0.1%)が減少したことなどから、国内需要は5四半期ぶりに減少したが、外需が前期比・寄与度0.3%(年率1.4%)と成長率を押し上げた。
10-12月期はかろうじてプラス成長となったものの、7-9月期の落ち込み(前期比年率▲1.0%)を取り戻すことはできなかった。実質GDPは約2年にわたってプラス成長とマイナス成長を繰り返しており、日本経済は一進一退の状態から抜け出せずにいる。
名目GDPは前期比1.3%(前期比年率5.2%)と2四半期ぶりの増加となり、実質の伸びを大きく上回った。GDPデフレーターは前期比1.1%(7-9月期:同▲0.5%)、前年比1.1%(7-9月期:同▲0.4%)となった。輸入物価の上昇を国内に価格転嫁する動きが広がり、国内需要デフレーターが前期比0.7%の上昇(7-9月期:同0.6%)となったことに加え、原油価格の下落や円安の一服を反映し、輸入デフレーターが前期比▲0.9%の低下となり、輸出デフレーターの伸び(前期比0.3%)を下回ったことがGDPデフレーターを押し下げた。
2022年10-12月期の1次速報と同時に、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから過去の成長率が遡及改定された。2022年7-9月期の実質GDP成長率は、民間消費の下方修正などから前期比年率▲0.8%から同▲1.0%へと下方修正された。
この結果、2022年(暦年)の実質GDP成長率は1.1%(2021年は2.1%)、名目GDP成長率1.3%(2021年は1.9%)といずれも2年連続でプラスとなった。
<需要項目別の動き>
民間消費は前期比0.5%と3四半期連続の増加となった。物価高や新型コロナウイルスの感染拡大という逆風を受けながらも、高水準の貯蓄や全国旅行支援による下支えもあって、消費は一定の底堅さを維持した。
実質家計消費の内訳を形態別にみると、物価高の影響から食料品などの非耐久財が前期比▲0.3%、被服・履物、家具などの半耐久財が同▲1.6%の減少となったが、供給制約の緩和を受けて、自動車家電などの耐久財が前期比2.7%の増加となったほか、全国旅行支援による下支えもあり、交通、外食、旅行、宿泊などのサービスが同1.4%の増加となった。
雇用者報酬は、12月の特別給与が高い伸びとなったことを主因として、名目・前年比2.9%となり、7-9月期の同1.9%から伸びを高めたが、家計消費デフレーターの伸びが高まったことから、実質では前年比▲1.4%(7-9月期:同▲1.6%)と5四半期連続の減少となった。
住宅投資は前期比▲0.1%と6四半期連続で減少した。住宅投資は、資材価格の高騰に伴う住宅価格の上昇を背景に低迷が続いている。
設備投資は前期比▲0.5%と3四半期ぶりに減少した。設備投資は、高水準の企業収益を背景に、基調としては持ち直しの動きが続いていると判断されるが、10-12月期は輸出、生産活動の停滞を受けて足踏みとなった。
公的固定資本形成は予算前倒し執行の影響が一巡したことから、前期比0.5%と3四半期ぶりに減少した。
外需寄与度は前期比0.3%(前期比年率1.4%)と2四半期ぶりのプラスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比1.4%の増加となる一方、財貨・サービスの輸入が前期比▲0.4%の減少となったため、外需は成長率の押し上げ要因となった。
財、サービス別にみると、財輸出は海外経済減速の影響で前期比0.6%の低い伸びにとどまったが、水際対策の緩和に伴う訪日客数の増加からサービス輸出が同5.2%の高い伸びとなった。一方、サービス輸入が7-9月期の高い伸び(前期比19.9%)の反動で、前期比▲6.7%と減少に転じたことが、輸入全体の伸びを押し下げた。
民間消費は前期比0.5%と3四半期連続の増加となった。物価高や新型コロナウイルスの感染拡大という逆風を受けながらも、高水準の貯蓄や全国旅行支援による下支えもあって、消費は一定の底堅さを維持した。
実質家計消費の内訳を形態別にみると、物価高の影響から食料品などの非耐久財が前期比▲0.3%、被服・履物、家具などの半耐久財が同▲1.6%の減少となったが、供給制約の緩和を受けて、自動車家電などの耐久財が前期比2.7%の増加となったほか、全国旅行支援による下支えもあり、交通、外食、旅行、宿泊などのサービスが同1.4%の増加となった。
雇用者報酬は、12月の特別給与が高い伸びとなったことを主因として、名目・前年比2.9%となり、7-9月期の同1.9%から伸びを高めたが、家計消費デフレーターの伸びが高まったことから、実質では前年比▲1.4%(7-9月期:同▲1.6%)と5四半期連続の減少となった。
住宅投資は前期比▲0.1%と6四半期連続で減少した。住宅投資は、資材価格の高騰に伴う住宅価格の上昇を背景に低迷が続いている。
設備投資は前期比▲0.5%と3四半期ぶりに減少した。設備投資は、高水準の企業収益を背景に、基調としては持ち直しの動きが続いていると判断されるが、10-12月期は輸出、生産活動の停滞を受けて足踏みとなった。
公的固定資本形成は予算前倒し執行の影響が一巡したことから、前期比0.5%と3四半期ぶりに減少した。
外需寄与度は前期比0.3%(前期比年率1.4%)と2四半期ぶりのプラスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比1.4%の増加となる一方、財貨・サービスの輸入が前期比▲0.4%の減少となったため、外需は成長率の押し上げ要因となった。
財、サービス別にみると、財輸出は海外経済減速の影響で前期比0.6%の低い伸びにとどまったが、水際対策の緩和に伴う訪日客数の増加からサービス輸出が同5.2%の高い伸びとなった。一方、サービス輸入が7-9月期の高い伸び(前期比19.9%)の反動で、前期比▲6.7%と減少に転じたことが、輸入全体の伸びを押し下げた。
(2023年1-3月期もゼロ%台の低成長を予想)
2022年(暦年)の実質GDP、名目GDPはいずれも2年連続のプラス成長となったが、実質GDP、名目GDPともコロナ禍前の2019年の水準に届かなかった。
四半期ベースでは、2022年10-12月期の実質GDPは、コロナ禍前(2019年10-12月期)の水準を1.0%上回ったが、消費税率引き上げ前のピーク(2019年7-9月期)は▲1.8%下回っている。経済の正常化にはまだかなりの距離がある。
2023年1-3月期は、民間消費、設備投資などの国内需要は底堅い動きとなる一方、欧米を中心とした海外経済の減速を主因として輸出が減少に転じることから、現時点では年率ゼロ%台の低成長を予想している。
2022年(暦年)の実質GDP、名目GDPはいずれも2年連続のプラス成長となったが、実質GDP、名目GDPともコロナ禍前の2019年の水準に届かなかった。
四半期ベースでは、2022年10-12月期の実質GDPは、コロナ禍前(2019年10-12月期)の水準を1.0%上回ったが、消費税率引き上げ前のピーク(2019年7-9月期)は▲1.8%下回っている。経済の正常化にはまだかなりの距離がある。
2023年1-3月期は、民間消費、設備投資などの国内需要は底堅い動きとなる一方、欧米を中心とした海外経済の減速を主因として輸出が減少に転じることから、現時点では年率ゼロ%台の低成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年02月14日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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