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「こち亀の両さん」は老人なのか-新しいシニアマーケティング・世代間マーケティングを考える
生活研究部 研究員 廣瀨 涼
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タイトル通り、本レポートの目的は「両津勘吉(通称両さん)が老人なのか」という疑問が出発点となっている。両津勘吉はマンガ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公である。『週刊少年ジャンプ』において1976年から2016年まで連載され、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」として、ギネス世界記録に認定されている 国民的マンガの一つである。両津勘吉は作中において35歳(諸説あり)という設定であるが、誕生日は1952年3月3日であり、仮に現代に生を受けている場合2021年3月現在69歳ということになる。老人という言葉をタイトルではあえて使用しているが、一般には高齢者という表現の方がより丁寧で、且つ定義も明確である。世界保健機関(WHO)の定義では、65歳以上の人のことを高齢者とし、 65-74歳までを前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼んでいる。この定義に従えば両津勘吉は前期高齢者に属するわけである。確かに身体的には年を重ねるにつれ、身体の機能として若いころと同じというわけにはいかない処もあるだろう。しかし、精神的な側面から見れば、筆者のように戦時中に戦火を目の当たりにしてきた祖父母を持つ者からすれば、昨今の高齢者に対するイメージ像は大きく変化しているといえるのではないだろうか。マンガやドラマに出てくる軒先でお茶を飲みながら将棋をしたり、はかま姿で竹刀を振っているおじいさん像は当に筆者の祖父母世代にあたると思われるが、例えばZ世代(1996~2012年の間に生まれた世代)の「おじいさん・おばあさん」層は、筆者の父母世代にあたり、言うまでもなく祖父母世代と父母世代ではライフスタイル、趣味嗜好が大きく異なる。同じ高齢者と言う言葉を使ったとしても実態は大きくかけ離れており、持たれているイメージは異なるのである。本レポートのタイトルで「両津勘吉が老人なのか」と問いているが、両津以前の高齢者のイメージが高齢者像を今でも形成しており、そのイメージと比較すると両津は、その高齢者像より若い世代として位置づけられてしまうと筆者は考える。
本レポートでは「両津勘吉」を一つのロールモデルとして、現在の前期高齢者がどのような消費を行ってきたかを検証し、それ以前の世代と比較する。そして、そこから高齢者のイメージ再構築の必要性をコンテンツ消費の視点から述べていく。また、コンテンツマーケティングにおいて世代間で消費されてきたコンテンツの差異や共通性を考慮に入れる「世代間コンテンツマーケティング」の必要性についても併せて論じる。
■目次
1――両津勘吉69歳
2――両津が過ごした青年期
3――両津銀次(両津の父)の青年期
4――シニア層のスマホ普及率は7割を超える
5――何が現代の高齢者にとっての「懐かしさ」なのか
6――「世代間コンテンツマーケティング」の必要性
7――2世代消費から3世代消費へ
8――さいごに
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