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 - 「名古屋オフィス市場」の現況と見通し(2020年)
 
2020年04月03日
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1. はじめに
                                            名古屋のオフィス市場では、事務所の新規開設や拡張移転が活発であった一方、新規供給は限られており、結果として、空室率は過去最低水準まで低下した。一段と逼迫した需給環境を反映し、成約賃料はファンドバブル期のピークを大きく上回った。本稿では、名古屋のオフィス市況を概観した上で、2024年までの賃料予測を行う。但し、本稿では新型肺炎(コロナウィルス)の感染拡大の影響は加味していない。影響を含めた賃料予測は後日報告したい。
 
            
2. 名古屋オフィス市場の現況
1 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
2 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
                                                                        2-2. オフィス市場の需給動向
三鬼商事によると、名古屋ビジネス地区では、総ストックを表す賃貸可能面積は、新規供給量が限定的であったことに加え、「中日ビル」をはじめとして、再開発および建て替えに伴うビルの取り壊し(滅失)が進んだことで、99.4万坪(2018年末)から97.5万坪(2019年末)へと1.9万坪減少した。また、テナントによる賃貸面積は、2010年から9年連続で増加していたが、昨年は96.7万坪(2018年末)から95.6万坪(2019年末)へと1.1万坪減少した(図表6、図表7)。
この結果、2019年末の名古屋ビジネス地区の空室面積は1.9万坪(前年比▲0.8万坪)となり、ファンドバブル期のボトムである5.6万坪(2007年末)の約1/3の水準まで減少している。
            三鬼商事によると、名古屋ビジネス地区では、総ストックを表す賃貸可能面積は、新規供給量が限定的であったことに加え、「中日ビル」をはじめとして、再開発および建て替えに伴うビルの取り壊し(滅失)が進んだことで、99.4万坪(2018年末)から97.5万坪(2019年末)へと1.9万坪減少した。また、テナントによる賃貸面積は、2010年から9年連続で増加していたが、昨年は96.7万坪(2018年末)から95.6万坪(2019年末)へと1.1万坪減少した(図表6、図表7)。
この結果、2019年末の名古屋ビジネス地区の空室面積は1.9万坪(前年比▲0.8万坪)となり、ファンドバブル期のボトムである5.6万坪(2007年末)の約1/3の水準まで減少している。
                                                                        また、2019年4月に「働き方改革関連法案」が施行され、2020年4月から中小企業も適用対象となる等、「働き方改革」への取り組みは重要度を増しており、オフィス需要にも影響を与えている。
帝国データバンクの「働き方改革に対する愛知県企業の意識調査(2019年12月時点)」によれば、「働き方に取り組んでいる」との回答が約6割を占め、前回調査(2018年8月時点)の約4割から増加した(図表8)。また、「取り組んでいる具体的な内容(業務改善)」について、「業務の集約化やプロセスの見直し・改善」との回答が4割弱を占めた(図表9)。こうした業務の集約化等の取り組みがオフィスの移転・拡張需要を押し上げている。
一方、「サテライトオフィスやテレワークの導入」との回答は6%に留まった(図表9)。ただし、「今後、新たに取り組む予定のある項目」では、「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」に次いで回答が多かった(図表10)。名古屋でも、働く場所に関して多様な選択肢を用意し、従業員の働きやすい環境を整備する動きが進展しつつある。東京都心部と同様に3、サードプレイスオフィス市場の拡大がオフィス需要の新たな担い手となる可能性もあり、今後の市場動向を注視したい。
            帝国データバンクの「働き方改革に対する愛知県企業の意識調査(2019年12月時点)」によれば、「働き方に取り組んでいる」との回答が約6割を占め、前回調査(2018年8月時点)の約4割から増加した(図表8)。また、「取り組んでいる具体的な内容(業務改善)」について、「業務の集約化やプロセスの見直し・改善」との回答が4割弱を占めた(図表9)。こうした業務の集約化等の取り組みがオフィスの移転・拡張需要を押し上げている。
一方、「サテライトオフィスやテレワークの導入」との回答は6%に留まった(図表9)。ただし、「今後、新たに取り組む予定のある項目」では、「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」に次いで回答が多かった(図表10)。名古屋でも、働く場所に関して多様な選択肢を用意し、従業員の働きやすい環境を整備する動きが進展しつつある。東京都心部と同様に3、サードプレイスオフィス市場の拡大がオフィス需要の新たな担い手となる可能性もあり、今後の市場動向を注視したい。
3 吉田資「「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2020年)」(2020.2.17)
(2020年04月03日「不動産投資レポート」)
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経歴
                            - 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~) 
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