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- 新型コロナへの生活者の不安-全国6千名の定量調査から見えること、不安を軽減させるには
新型コロナへの生活者の不安-全国6千名の定量調査から見えること、不安を軽減させるには
 
                                                生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 政府の全国一斉休校要請直後に実施した全国の20~50歳代の男女6千名を対象に実施した定量調査にて、新型コロナへの不安の状況を見ると、73.7%が不安に感じており、男性より女性で、年齢は高いほど、未婚者より既婚者で、子がいないよりいる方が、単身世帯より家族と同居世帯で不安が強い傾向がある。
 
- また、男性は出社制限やテレワークへの切り替え指示などを担う管理職層で、女性は子の休校の影響を受けやすい専業主婦のほか、休業が収入減少等に直結しやすいフリーランス>非正規雇用者>正規雇用者の順に不安が強い。このほか、日頃から情報収集に積極的な層やマスメディア志向が強い層、東京五輪へ期待している層ほど不安が強い。
 
- 新型コロナにより外出を控えた割合は全体で63.9%であり、不安が強いほど多い。調査実施時期の影響もあり、地域別には北海道で外出抑制層が多い。外出抑制して増えた行動は、「テレビの視聴」「ネットサーフィン」「動画配信サービスの視聴」の順であり、不安が強い層では特に「テレビの視聴」「ネットサーフィン」が多い。
 
- 情報収集積極層やマスメディア志向層ほど不安が強く、不安が強いために外出を抑制し、自宅でテレビ視聴やネット検索によって新型コロナ関連の情報に接触することで、ますます不安を強めているという負のスパイラルが見られる。
 
- 未知の感染症との闘いが続く中では、休業給付等の政府の支援策を十分に把握する一方、不安感を不要に高めるような情報を自ら探すのではなく、健康管理などすべきことを行い、自分の生活をしっかり守ることが重要だ。また、メディア側には感染者数だけでなく、退院者数等の生活者が安心できるような情報も同時に出して頂きたい。
■目次
1――はじめに~政府の一斉休校要請直後に6千名の定量調査実施
2――新型コロナへの不安
~子のいるフリーランス女性、情報収集積極層、マスメディア志向層で強い
1|全体・性年代別~73.7%が不安、男性より女性で、年齢が高いほど不安
2|職業別~男性は管理職層、女性は休校の影響が大きなフリーランス、非正規、
専業主婦で不安
3|家族の状況別~家族が多いと自分だけでなく家族の心配で不安、子のいるフリーランス
女性は9割超
4|日頃の行動・価値観別~情報収集に積極的、マスメディア志向が強いほど不安
3――新型コロナによる外出抑制~不安が強いほど外出抑制
4――外出抑制で増えた行動
~不安層は外出を控え、TVやネットに触れることでますます不安に
5――おわりに
~時には情報を遮断して不安感を不要に高めない、メディア側は退院者数など正の情報も
(2020年03月23日「基礎研レポート」)
 
                                        03-3512-1878
- プロフィール
 【職歴】
 2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
 2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
 2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
 2021年7月より現職
 ・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
 ・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
 ・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
 ・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
 ・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
 ・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
 ・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
 【加入団体等】
 日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
 生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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