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- 所有から利用へと変わる消費-なぜサブスクリプションサービスが拡大するのか?
2020年01月16日
■要旨
■目次
1――はじめに~所有から利用への流れと3つの要素
2――モノを「買えなくなった」背景
1|若い世代の厳しい経済環境~賃金水準の低下、取り残された氷河期世代、将来の
経済不安
2|最近の消費者の状況~老後資金2千万円不足問題や消費増税による生活防衛意識の
高まり
3――モノを「買わなくてもすむようになくなった」
1|技術革新による消費社会の成熟化~生活満足度の高い若者、安くて良いモノの普及、
所有欲の低下
2|消費のデジタル化の進展~サブスクリプションサービス・シェアリングサービスの
広がり
4――モノよりも「サービスを買うようになった」
~通信料やコンサートなどのコト消費、モノのデジタル化
5――おわりに~所有から利用への流れの加速
- 近年の消費行動で見られるモノの「所有から利用へ」という消費行動には、(1)モノを「買えなくなった」、(2)モノを「買わなくてもすむようになった」、(3)モノよりも「サービス(コト)を買うようになった」という3つの要素がある。
- モノを「買えなくなった」背景には若い世代の厳しい経済環境があげられる。非正規雇用者が増え、正規雇用者でも収入が伸びにくくなっている。また、少子高齢化による将来の社会保障不安もあるだろう。さらに、昨年は消費増税に加えて、「老後資金2千万円不足問題」が大きな話題となることで、生活防衛意識を高めた消費者が増えたのではないか。
- モノを「買わなくてもすむようになった」背景には、技術革新が進み、成熟した消費社会では安くて品質の高いモノがあふれ、お金を使わなくても消費生活が楽しめることがあげられる。所有欲が低下し、社会貢献意識が高まる中で、ミニマリストを良しとする風潮もある。さらに、サブスク等に見られる消費のデジタル化が拍車をかける。
- また、消費者が興味関心を持つ対象が変わり、お金の使い道が変わった。モノよりも通信サービスやレジャー、イベントなどの「サービス(コト)を買うようになった」。子育て世帯では子どもの教育関連サービスの人気も過熱気味だ。また、音楽CDなど、モノがデジタル化された結果、自ずとサービスを買うようになったという状況もある。
- 今後、「所有から利用へ」という流れは、2つ目や3つ目の要素によって加速するだろう。シニアのスマートフォン利用が増えることで、サブスク等の消費のデジタル化が幅広い層に広がっていく。また、日本では単身高齢世帯や共働き世帯が増え、生活上のちょっとした困りごとを解決するサービス需要も高まるだろう。
- 従来のモノづくり企業はどうすべきか。ヒントの1つに「モノ消費に見えてコト消費」という考え方をあげたい。今の消費者は所有することによるステイタスではなく、モノを使うコトで得られる経験に価値を置く。豊かな体験(コト)を得るために利用するモノという、いわば逆転とも言える発想の転換が必要な時代なのかもしれない。
■目次
1――はじめに~所有から利用への流れと3つの要素
2――モノを「買えなくなった」背景
1|若い世代の厳しい経済環境~賃金水準の低下、取り残された氷河期世代、将来の
経済不安
2|最近の消費者の状況~老後資金2千万円不足問題や消費増税による生活防衛意識の
高まり
3――モノを「買わなくてもすむようになくなった」
1|技術革新による消費社会の成熟化~生活満足度の高い若者、安くて良いモノの普及、
所有欲の低下
2|消費のデジタル化の進展~サブスクリプションサービス・シェアリングサービスの
広がり
4――モノよりも「サービスを買うようになった」
~通信料やコンサートなどのコト消費、モノのデジタル化
5――おわりに~所有から利用への流れの加速
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03-3512-1878
経歴
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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