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- インド消費者物価(25年10月)~9月のCPI上昇率は1.5%に低下、8年ぶりの低水準に
2025年10月15日
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インド統計・計画実施省が10月13日に公表した消費者物価指数(以下、CPI)によると、2025年9月のCPI上昇率は前年同月比1.5%と、前月の同2.1%から低下(図表1)、事前の市場予想(同1.5%)1と一致した。
地域別のCPI上昇率をみると、都市部が前年同月比2.0%(前月:同2.4%)、農村部が同1.1%(前月:同1.7%)と、それぞれ低下した。
品目別にみると、主に食品価格の低下がCPIを押し上げた。
まず食品は前年同月比▲2.3%と、前月の同▲0.7%からマイナス幅が拡大した(図表2)。食品のうち野菜が同▲21.4%、豆類が同▲15.3%となり、それぞれ大幅な価格下落が続いており、また香辛料(同▲3.1%)の減少も続いた。このほか、国際価格の緩和により穀物製品(同2.1%)や牛乳・乳製品(同2.5%)、加工食品(同4.1%)が鈍化した。他方、油脂(同18.3%)と果物(同9.9%)は高い伸びが続いたほか、肉・魚(同+2.1%)が3か月連続で加速した。なお油脂は輸入比率が高く、昨年9月の食用油の関税引き上げや国際的な価格上昇の影響を受けて高い伸びが続いている。
燃料・電力は前年同月比2.0%(前月:同2.3%)と、国際原油価格の低下を受けて鈍化した。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)については前年同月比4.5%となり、前月の同4.1%から上昇した。カテゴリー別にみると、貴金属価格の高騰によりパーソナルケア(同19.4%)や住宅(同4.0%)が加速した一方、保健(同4.3%)や教育(同3.4%)、家庭用品・サービス(同2.4%)、娯楽(同2.0%)、輸送・通信(同1.8%)が前月から低下した。衣料品・履物(同2.3%)は横ばいで推移した。
9月のインフレ率(CPI上昇率)は2017年6月以来の最低水準となり、インド準備銀行(RBI)の目標レンジ(+2%~6%)の下限を下回った。主に物品サービス税(GST)の税率の合理化や食品インフレの緩和が物価の押し下げ要因となった。9月は良好な降雨に恵まれた雨期作の収穫が一部地域で始まったことで、食料の供給量が増加して食品価格が押し下げられた可能性がある。
10月のインフレ率も落ち着いた水準を維持しそうだ。インド政府はトランプ関税が外需を下押しすることを警戒して9月22日からGST税率の合理化を実施しているが、この影響は10月以降に本格的に現れるものとみられる。また雨期作の収穫は11月にかけて行われるので、供給増に伴う食品価格の押し下げ効果は更に強まるものとみられる。もっともコアインフレ率は2年ぶりの高水準にあるほか、インドルピーの減価傾向は続いており、足元のインフレ鈍化は短期的なものとなりそうだ。
10月のインフレ率も落ち着いた水準を維持しそうだ。インド政府はトランプ関税が外需を下押しすることを警戒して9月22日からGST税率の合理化を実施しているが、この影響は10月以降に本格的に現れるものとみられる。また雨期作の収穫は11月にかけて行われるので、供給増に伴う食品価格の押し下げ効果は更に強まるものとみられる。もっともコアインフレ率は2年ぶりの高水準にあるほか、インドルピーの減価傾向は続いており、足元のインフレ鈍化は短期的なものとなりそうだ。
(2025年10月15日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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